Roma2008

本当に暑いですね。昨晩は夕立で涼しかったというのに、朝起きると暑くて暑くて仕方がありませんでした。

先日は、エコをエンコにかけて、失笑を買ってしまいましたので、このあたりで本題に。

ローマのことです。

今年ローマにいこうと考えたのは、

  1. ローマにおけるラファエロの諸作品を見ておきたかった。
  2. なによりラファエロの墓参りをしたかった。
  3. ベルニーニの彫刻群を見てみたかった。
  4. イタリアでオペラを見てみたかった。

という理由により。 諸事情のため、暑い夏に旅程を組まざるを得ませんでした。

行くと決めたのが4月で、その時点で航空券も抑えましたので、燃油サーチャージも今今よりも少し低い値段でいけました。ちなみに、連れ合いの航空券はマイルでゲット。しかしマイルで交換できる特典航空券でも燃油サーチャージがかかるのです。とはいえ、二人分に均すと、この時期としてはリーズナブルな値段になってほっとしました。

塩野七生さんの「神の代理人」や「ローマ人の物語」を読んでいたのもローマ旅行の予習の一環でした。おかげでローマ史をさらうことができました(まだ9巻分しか読んでないですが)。 それから、ベルニーニ。バロック芸術の天才ですが、今は絶版となっている石鍋真澄さんの「ベルニーニ」を図書館から借りて読んでいるうちに、写真だけで感動してしまって、ベルニーニの彫刻を詣でることにしたわけです。今はamazonではとんでもない値段になっています。

 

ベルニーニ―バロック美術の巨星
石鍋 真澄
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今年も、ルフトハンザのボーイング747にてフランクフルトへ。シベリア上空では、ひたすらベルニーニの予習を。ワインを飲んで、食後にコニャックを頼んだのですが、思ったより眠気はきつくなくて、少し休んだぐらいでしょうか。コニャックはおいしいですね。CAさんが"Enjoy!"といって渡してくれたのが印象的。

フランクフルトでエアバス320に乗り換えてローマ・フィウミチーノ空港へ。機内でサンドイッチを食べたのですが、日本時間ではもう夜中。さすがに眠たくて、着陸周りは覚えていません。

全ての道はローマに通ず。いよいよ、ローマ入りです。

Classical,Roma2008

今日も暑い一日です。毎日会社近くの林を散歩するのが日課なのですが、この暑さではかえって体力を消耗します。いつもの半分ぐらいで切り上げて帰ってくるのですが、それでも暑い。席に戻って30分たってもまだ暑い。ありゃ、オフィスも28.9度ですって。いくらエコとはいえ、そのまえにこちらがエンコしてしまいそうです。

さて、今日もいろいろ聞いています。ヴォツェックを朝から聞き始めたのですが、どうにも深みにはまり込んでいくような感じで、いったん中止。コレッリのヴァイオリンソナタ集を聴き始めて少々気分が落ち着きました。

コレッリ(1653-1713)はローマで活躍したバロックの作曲家で、バッハにも影響を及ぼしているのですが、今は何処に眠るのかと申しますと、パンテオンに葬られているのですね。

パンテオンはもともとは紀元前25年にローマ皇帝アウグストゥスの腹心の部下アグリッパによって建てられるのですが、いったん火災で焼失し、紀元128年にハドリアヌス帝にて再建された建物です。どうして破壊を免れたのかというと、そもそもは万神殿というふうに、ローマの神々の為の神殿だったわけですが(アウグストゥスの墓として建てられたという説もあるそうです)、キリスト教がローマの国教となるに及んで、キリスト教の教会として利用されることになったからだそうです。さもなくば、フォロ・ロマーノのような廃墟になるところでした(フォロ・ロマーノについてはまた触れたいと思います)。

中に入ると、天井の採光穴からの光がぼんやりと内部を照らしています。

観光客の群れに身を任せながら、ラファエロの墓を発見。

ひときわ目立つ巨大な棺は、イタリア統一を成し遂げたサルディニア王家のヴィットリオ・エマヌエーレ二世のもの。

ですが、お目当てのコレッリの墓が見つからない。入り口の気のよさそうな髭面の若者にたずねてみると(イタリア語はしゃべれませんのでカタコト英語でですが)、場所を教えてくれましたので、言ってみると、ありましたよ、コレッリの墓碑が。

それにしても、コレッリの音楽は慈愛深くて、聞いていて落ち着きます。帰りの電車もずっとコレッリ。ちょいと仕事でいろいろあったもので、結構慰めてもらいました。演奏は、Monica Huggettのヴァイオリン。透き通ったバロック初期の音楽です。

 

Opera

相変わらずヴォツェックが気になって仕方がありません。今日も聞いています。第二幕第四場のスケルツォがマーラーにそっくり。クラリネットの使い方、レントラー風の物憂げでシニカルな音楽。夢に出てきます。それから、場ごとに情景が切れていくあたりとか、酒場の舞踏の音楽が少々ジャズっぽかったりするのが先日見に行ったツィンマーマン「軍人たちSoldaten」にも似ているのですよ。何が何だか分らなくなっています。

音楽之友社の「名作オペラブックス」にこの「ヴォツェック」も入っていまして、初めて聞いた10年ほど前に購入してありました。改めていろいろ読むとおもしろいですね。ちょっと真面目に取り組みたくなります。

私が聞いている。ヴォツェックのCDのキャストを挙げておきます。アバド盤はこのメンツです。

  • 作曲==アルバン・ベルク
  • 指揮者==クラウディオ・アバド[←アッバード]
  • 管弦楽==ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
  • 合唱==ウィーン国立歌劇場合唱団
  • 合唱==ウィーン少年合唱団
  • ヴォツェック==バリトン==フランツ・グルントヘーバー
  • アンドレース==テノール==フィリップ・ラングリッジ
  • ハウプトマン==テノール==ハインツ・ツェドニク
  • マリー==ソプラノ==ヒルデガルト・ベーレンス
  • 鼓手長==テノール==ヴァルター・ラファイナー
  • 医者==バス==オーゲ・ハウグランド
  • マルグレート==アルト==アンナ・ゴンダ

ハインツ・ツェドニクさんは、少し前に新国立劇場にみえてましたね。CDではとても若い声です。ベーレンスさんのマリー、力強いけれど鬱蒼としたマリーの内面を巧く出しているように見えます。男達と渡り合うのに十二分なマリー。

今日は暑い一日。近所のカフェに出かけて、先日の旅行のまとめ。忘れないようにとにかく書き付けましたが、そちらも終わり。結構長くなってしまいました。

これからこのブログにも写真を出していきたいところなのですが、思ったより巧く撮れていなくてがっかり。教会のなかで撮った写真はほとんどだめです。すこし古いデジカメを持って行ったので、薄暗い教会での撮影は厳しい。今時のデジカメですとかなり感度が上がっていて、ISO3200なんてものもある。まあノイズは乗るとは思いますが、それでもぶれた写真やピントの合わない写真よりはマシです。また旅行に行くことがあったらデジカメを新調しようかな、と思いました。

しかし、明日から仕事ですね。今週は毎日更新したいです。

Classical,Opera

今日の通勤時間もヴォツェック。とりつかれてしまいました。

それにしても、(恥ずかしながら)音楽理論も知らないし(クラシックの)楽器演奏経験もない身にとって、ヴォツェックについて何かを書くことが許されるのでしょうか。なんだか、背伸びをしているのか、冒涜しているのか分からない。 ただ、言えるのは、旋律や響きや歌唱が奔流となって流れ込んでくる、という状態を主観的ではあれ捉えているということです。けれども、その奔流を言語化せねばならないという必死な感覚が湧き上がっている感じ。勉強せねば。いつまでも逃げていてはなりませんね。

ちょっとずるして更新しています。明日はもう少しヴォツェックのことを書いてみようと思います。

Opera

うう、忙しくて更新できません。下書きは書いているものの、Weblogにアップできない。まずいですね。もっと効率的に動いていかないと。

今朝は、急にベルクのヴォツェックが聞きたくなって、第一幕第三場でマリーの幸福と不安の混ざり合った美しい歌を聴いていました。第三場では、冒頭で軍楽隊の行進が聞こえますが、これはもうマーラー的な世界。それが、マリーの台詞で一気に無調の世界へと色彩を変えていく。 マリーの台詞の焦燥感と切迫感、歌唱の流麗さと調性を踏み外す危うさ。たまりません。しかしながら、忙しいときや鬱気味のときにに聞くのは考えもの。心がかき乱されますので。

どうもヴォツェックのマリーと、軍人たちのマリーのイメージが重なり合って仕方がないです。ちと考えてみたいテーマですね。

シュトラウスのような美しいオペラも好きですが、ヴォツェックとかルルとか、不安をかきたてられるオペラも実は好きだったりするのですね、これが。ああ、こんなことなら、昨年、バレンボイム(場恋慕医務と変換された。笑えます)&ベルリンシュターツオーパーの「モーゼとアロン」を見ておくんだった……。もっと積極的にいろいろ聞いていこうと改めて思いました。

仕事場はトラブル続きで大混乱状態。直接の当事者ではないですが、玉突き的に私の仕事も膨らんでいるイメージ。まあトラブルなので仕方がないですが。

Japanese Literature

あまりに忙しい。ここで道を誤ると大変なことになりそうなので、すばやく慎重にことを進めなければならない。自分だけならいいけれど、人が関わるととたんに難しくなるわけですが、まあ仕事というのは、そういうものです。

犬養道子さんの「旧約聖書物語」読み進めています。断片的に知っていた旧約のエピソードが体系化されて徐々に霧が晴れていくような気がします。 それにしても父なる神の厳しさといったら大変なものですね。砂漠の中から生まれた一神教の厳しさ。昔大学の一般教養の授業で、イスラエルの地は砂漠ばかりではないのだから、砂漠の一神教というのは違うのではないか、という話を聞いたことがありますが、この「旧約聖書物語」を読むと、やはり厳しい気候がゆえに育まれたのだなあ、というのが実感です。

しかし、音楽聴くのも、絵画彫刻を見るのも、旧約は外せないですね。サムソンとデリラとか、ダヴィデとゴリアテとか、エピソードを知らないと味わい方も違ってきます。今までの怠惰な自分が許せないですね。これからがんばります。 まあ、旧約の次には、新約があるわけですし、ギリシア神話ももう少し勉強しないといけませんし。

うーむ、やることがたくさんありすぎて楽しくなってきました(半分は本当で、半分はやせ我慢です)。

Giacomo Puccini,Opera

旅行明けで会社に戻ってみると、驚きの連続。良い意味でも悪い意味でも。早くイニシアティブを取り戻して行きたいですね。

今日はまたオペラの話題。

今年はプッチーニの生誕150周年となります。そういえば、お正月に見に行った「NHKニューイヤーオペラコンサート」でも、プッチーニの動画本邦初公開みたいなコーナがありましたね。

図書館で借りてきたシノポリの振る蝶々夫人、これがめっぽう面白いのです。第一幕を執拗に聞き込んでいます。それだけでも本当にすばらしいのです。

テンポが激しく操作されていて、実に楽しい。ここでこのテンポ? みたいな驚きの連続。でもそれでいてしっくり来るテンポ。僕のデフォルト盤であるカラヤン盤がそんなにテンポを動かさないので、そう思うのかもしれませんが。個人的にはテンポを動かす演奏が好きですので、いたく気に入りました。

シノポリのプッチーニといえば、「マノン・レスコー」を聞いたことがありますが、こんなにテンポ動かしていたかなあ、と思ったり。

ちなみに、ピンカートンを歌うホセ・カレーラスがすばらしすぎる。パヴァロッティのようなあらぶれたところもなく、ドミンゴのような甘さもないけれど、なんだか直情的で真摯に歌う感じですね。不品行なピンカートンには少し似合わないかも(そういう意味ではパヴァロッティはピンカートンにぴったりですが……)。でも好きなんですね、こういう声。ここまで一生懸命歌われるとこちらも心が動きます。ピンカートンのカレーラスは当たりです。

Miscellaneous

なんだかお久しぶりな気がいたします。

実は、ちと旅行に行ってきました。昨年は10月にイタリアに行ったのですが、今年は諸般の都合により、ローマへ。17日に出発し、24日に帰国しました。すぐに再開したかったのですが、体調を崩したので更新が滞りました。17日~24日の記事は、旅行前に書きためていたものを順次自動更新しました。旅行の間中更新を止めるのはちょっと気が引けたもので……。でも、帰国してから更新できていないんじゃ仕方ないじゃない? という気もいたしますが。連載を持っている漫画家さん(作家さんでも良いのですが)の気持が少し分った気がします。

ともかく、いろいろとエキサイティングな旅行でした。ユーロ高ということもありましたし、肉体がぼろぼろになる苦行のような旅でしたが、いろいろと勉強になりました。また写真を載せたり、記事を書いたりしようと思います。

Miscellaneous

今日はちょっとこのブログの舞台裏のようなこと書いてみたいと思います。

いつMSB(Museum::Shushi Bis)を書いているかというと、平日だと明け方が多いです。一旦Google NoteかMicrosoft Office Onenoteで下書きを書いてから、ブログにアップするという感じです。アップ時間はまちまちですが、最近は夜にアップできるようにスケジューリングしています。

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Microsoft Onenoteは、資料の整理や情報をストックするのに便利なアプリケーションです。不便なことはたくさんあって、どうにかして欲しいと思っていますが、それに勝る便利さ。やはり情報をただただ貯めていくという作業にはこのアプリを使うしかないかなあ、と思っています。読書カードや情報カードの代わりに使うことも出来ますね。ちなみに「不便なこと」とはVBAがついていなかったり、スケジューラとの動機がOutolookとしか出来なかったり、などなど。色々ありますので、また今度まとめて書いてみたいと思います。

ちなみに、検索が遅くて使えないなあ、と思っていましたが、Microsoft Desktop Searchを導入すると、なんとインデクス化されて検索が高速化しました。この検索速度なら実用に耐えうります。あとは、Google Desktop Searchでも検索ができると良いのですが、そこはなかなかうまくいかないです。

譜面を書くのは、Music Time Deluxe Version 3.5の英語版を使っています。昔、Version 3.1の日本語版を使っていたのですが、Windows XPでは巧く動かないので、USのページからダウンロード購入しました。慣れると結構楽しいです。

画像はフリーカットプリスクという画像のキャプチャツールを使って譜面部分をJPEGに落として添付しています。

画像処理はAdobeのPaintoshop CS2を使っています。これは高機能でとても使いやすい。まだまだ全機能を使いこなしているとは言えませんし、研究する時間もあまり取れないのですが、ロゴを作ったりするのは楽しいですよ。

画像ですが、基本的にはFlickrに投稿して、その画像をブログ上に貼付けています。ですが、Flickrの枚数制限(フリーアカウントだと200枚まで)に引っかかりましたので、枚数制限のないフォト蔵に乗り換えました。Picasa Web Albumに乗り換えようと思います。

Microsoft Office Access 2007
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Microsoft Office Excel 2007
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演奏者の紹介では、Microsoft Accessに貯めた演奏家情報を元に、Microsoft Excelにデータを移管してVBAでHTMLにコンバートしたものを使用しています。この方式を採り始めてから、ご紹介する演奏の奏者情報を正確に素早くアップできるようになりました。VBAやAccessは作り込みに少し時間がかかりますが、それ以降はずいぶんと省力化されましたので、一時の苦労を厭ってはならないなあ、と改めて思いました。

Tsuji Kunio

何かに罪の意識を感じている男と女がスペインへの列車旅行に向かいます。それも旅行案内書に載らないような旅行をするために。灼熱のスペインの大地を走る気動車。フランコ政権下にあって政治的自由を失っているスペイン人達。線路工事をする兵士。

そうしてサラマンカに到着した二人はやはり旅行案内書に載らないような場末のホテルに部屋をとる。だが旅行案内書に沿わないようにしているはずなのに、いつしか旅行案内書に近付いている。

ホテルの物静かな主人。サラマンカの市場の熱気。揚げ油の匂い。ロマの娘の舞踏の情熱的美しさ。サラマンカの風物にあてられながら、 二人には徐々に生への意志が醸成されていきます。それは男の「僕たちにだって幸せに生きる権利がある」という言葉にも見て取ることができます。しかし、二人はサラマンカを去らなければならない。女は言います。

「それ以上のことをサラマンカに負わせるべきじゃないわ」

最終幕がすばらしいのです。このブログでも何度も紹介したかも知れません。そして個人的に何度となく励まされたことか。泥棒容疑で捕まった踊り子の娘が警察署から裸足で歩いてくる。オレンジを齧りながら。その躍動的な生命感と言ったら! そして、この言葉で小説は閉まります。

「オレンジを囓るんだ。裸足でね、そして何かにむかってゆくのさ」

 

初出:1972年文學界
辻邦生全集第8巻に所収
文庫:新潮文庫「サラマンカの手帖から」、講談社文芸文庫「城・ある告別」