Tsuji Kunio

辻邦生全集〈8〉 辻邦生全集〈8〉
辻 邦生 (2005/01)
新潮社

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「風越峠にて」を大晦日に読みました。昨年の読み納めでした。この短篇を読むのは5年ぶりぐらいになると思いますが、いつ読んでも、気品と情熱を感じる薫り高い短篇だなあ、と思いました。また、今回もまた新たな発見をいろいろとした次第です。

今回は、この短篇に登場する土地について考えてみたいと思います。

風越峠のモデルは?

風越峠は全国に点在しているようです。以下の県にその地名が見られるようです。

  • 宮城県
  • 福島県
  • 長野県
  • 静岡県(二つ)
  • 愛知県

「日本の峠一覧」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2006年12月31日 (日) 07:10 UTC、URL: http://ja.wikipedia.org

辻先生は旧制松本高校に通っていらしたので、おそらく松本市北部にある風越峠が、辻先生にインスピレーションを与えたのではないか、と想像します。こちらに写真が載っていました。

軟弱派峠道紀行(2007年1月1日アクセス)

「私」と谷村が泊ったホテルは?

文中には「東山に近い」ホテルに泊ったと在ります。以下の理由から、これは現在の「ウェスティン都ホテル京都」ではないかと思われます。ホテルのロビーには外国人が居るという描写があることから、比較的規模の大きいホテルではないかと想像されます。また、「私」と谷村は再会の夜、南禅寺近くの料亭で食事をしています。南禅寺はウェスティン都ホテルのすぐ傍ですので、自然と近くの料亭で食事をとることになったのでしょう。
地図のAの地点がホテルです。ホテルの北東に南禅寺があります。
「ウェスティン都ホテル京都」は、かつて「都ホテル」という名称でしたが、ウェスティンホテルの系列下に入り現在の名称となりました。おそらく二人が泊った頃は「都ホテル」という名称だったのでしょう。

「私」と谷村が乗った電鉄とは?

間違いなく近鉄京都線だと思います。京都から奈良へのアクセスは近鉄とJR奈良線の二通りが考えられますが「電鉄にゆれられ、いくつか乗り換えをし」という言葉から、近鉄を使ったのではないかと想像されます。JR奈良線を使ったのならば、電鉄ではなく国鉄と表記をしたのではないでしょうか?
二上山の麓の駅は、近鉄南大阪線の二上神社口駅と思われます。ここから1時間30分山を登ったところに大津皇子陵があります。したがって、以下のような旅程だったのではないでしょうか?

●京都
|  8:40発
|    近鉄京都線(急行)41分
↓大和西大寺
|    近鉄橿原線(急行)26分
| △9:50着
○橿原神宮前
|  9:55発
|    近鉄南大阪線(普通)22分
| △10:17着
■二上神社口

二上神社口駅は「にじょうじんじゃぐち」と読みます。駅と大津皇子陵の位置関係はこちらの地図・航空写真の通りです。

先日も書きましたが、僕が「風越峠にて」を初めて読んだのは近鉄京都線の車中でした。京都駅から京田辺市へ向かうために乗っていたのです。これも一つのシンクロニシティと言えるのではないかと思った次第です。

Google Map

Classical




ピアノ協奏曲第2番を聞いています。強烈だなあ、と思います。特に第3楽章の切迫感とリズムの激しさにはおののいています。パーカッションのリズムが複雑かつ効果的ですね。ピアノもパーカッション的に使われているように感じます。これも若いうちに聞いておきたい曲だと思いました。

Tsuji Kunio

見知らぬ町にて (1977年) 見知らぬ町にて (1977年)
辻 邦生 (1977/07)
新潮社

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辻邦生作品の今年の読み納めを何にしようか迷っています。
僕が初めてかった辻先生の文庫である「見知らぬ町にて」のなかから選んでみたいと思います。
そうですね、今年の読み納めは「風越峠」にしてみようかな、と思います。この短篇、とても気に入っています。初めて読んだのは15年ほど前の近鉄京都線の車中にて。人間を揺さぶるどうしようもない運命性に心を動かされたのを覚えています。それから何度となく読み返しました。僕の中では辻作品のトップテンに入る作品です。また新しい発見が在るかもしれません。明日から短い休暇が始まりますので、読書時間もすこし取ることが出来そうです。楽しみですね。

Opera

Richard Strauss: Vier letze Lieder/Die heiligen drei K醇rnige aus Morgenland/Capriccio (extract) Richard Strauss: Vier letze Lieder/Die heiligen drei K醇rnige aus Morgenland/Capriccio (extract)
Richard Strauss、 他 (1990/10/25)
Deutsche Grammophon

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カラヤンの振るカプリッチョ終幕の場面を聴きました。ソプラノはアンナ・トモワ=シントウです。月光の音楽の美しさは格別。カラヤンの美意識と音楽の持つ美しさの歯車がかっちりと合っている感じです。トモワ=シントウのダイナミックレンジの広さには脱帽でした。

Classical

Bruckner: Symphony No. 5 Bruckner: Symphony No. 5
Anton Bruckner、 他 (1997/02/11)
BMG

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ヴァントのブルックナーをふと聴いてみました。ベルリンフィルとの力強く端整な演奏。初めて聞いたときには大きな感動を覚えたものです。ヴァントが亡くなってからもう5年近くが経とうとしているのが信じられません。

Classical




スヴェトラーノフ指揮ソ連国立管弦楽団(?The USSR Symphony Orchestra)によるスクリャービンの交響曲全集を買いました。ジャケットから解説書に至るまでキリル文字の連続です。
今回は名曲300に数えられている4番の交響曲「法悦」を聞いてみました。トランペットの咆吼が印象的。きっともっと若い頃、10代に聞いておけば良かったなあ、という曲・演奏でした。もっともそんな若い頃は今のようにCDは安くなかったしお金も持っていなかったので仕方がないのですが……。

Classical

Brandenburg Concerti 1-6 Brandenburg Concerti 1-6
Johann Sebastian Bach、 他 (1990/10/25)
Polygram Int’l
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カラヤンの振るブランデンブルク協奏曲を聴いています。古楽器の演奏に比べると華やか過ぎる感じは否めません。というより、激しいバッハだな、と言う感じです。激しいなりに焦点が定まっていて、聞き手にとってはカラヤンの価値観がよく分かる演奏だと思います。たまにはこういうバッハも良いと思います。

Opera

Capriccio
ベームの振るカプリッチョ。バイエルン放送響、伯爵夫人にヤノヴィッツ、伯爵にディースカウ、フラマンにシュライアー、オリヴィエにプライ。豪華キャストです。ドレスデンのクラシックCDショップで買ったものです。
今日は月光の音楽から終幕にかけてを聞いてみました。この部分は、カラヤンもこの部分だけ録音しているという美しい箇所です。伯爵夫人のヤノヴィッツの声が、透き通るガラス細工のようで、心が揺り動かされます。オケも伯爵夫人の心の揺れを見事に表現していると思います。
今日のところはこの一枚を聞いて明日への勇気としましょう。