辻邦生「春の風 駆けて」その1 政治と文学
- 春の風駆けて―パリの時
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- 発売元: 中央公論社
- レーベル: 中央公論社
- スタジオ: 中央公論社
- メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1986/02
- 売上ランキング: 976173
しばらく前に読み終えた「春の風 駆けて」。示唆的な文章が多くて、今の自分にとって大切に思えるところがたくさんあった。畏怖すべき偶然と運命の溶解である。これから2,3回、この本について言及していこうと思う。
意外なほどフランス大統領選挙に関する言及が多い。フランソワ・ミッテランが勝利する1981年の大統領選挙のことで、ちょうどパリ大学で教鞭を執っていた辻邦生師は、新聞報道などを通じて、フランス国民の大統領選挙に対する意識などを分析したりしている。この手法、まるで「春の戴冠」で、語り手フェデリゴが叔父マルコとフィレンツェを巡る政治に思慮を巡らせるのと同じタッチ。なるほど、これぐらい現実政治に対してアクチュアルに関わらなければならないのだな、と反省する。最近は、そうした現実世界のニュースからは距離を置いていたけれど、これからはもう少し関わっていこう、と考えた。
続く
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