ブルノ・ワルター「マーラー 人と芸術」を読み始めました。

今日はちょっと短めです。所用で都心に出たもので、ちょっと時間が取れませんでした。

ブルノ・ワルターの「マーラー 人と芸術」ですが、音楽之友社から昭和44年に発売されたものを古本でゲットしましたので読んでいる次第。訳自体は戦前。

「回想」と「反省」の二部構成で、「回想」はワルターがマーラーと接した七年間の思い出話。「反省」で、マーラーの音楽的、芸術的な側面を分析しています。

マーラーには、音楽的才能と劇的才能の両方が備わっていて、だからこそオペラ指揮者として成功したのである、とか、マーラーの音楽は古典的側面とロマン的側面という二面性から理解されなければならない、など。もう少し分析的に読んでいく予定です。

ともかく、この本を読みながら、マーラーの三番などを聞いていたのですが、マーラーは聞いている人間を安心させることがなくて、あるときは流麗で映画音楽的美しさを持つのだけれど、次には突然、夜の兵舎に鳴り響くトランペットや鼓笛隊がうつろに行進するさまが描かれていたり、次には愛の告白をしているように聞こえるのだが、次には皮肉っぽく嘲笑って見せたりするわけです。マーラーの音楽を聴くと言うことは、人間や世界の多面性を理解すると言うことなのだなあ、なんてことを漠然と思ったりしていました。