ローマ人の物語、着々と。

「ローマ人の物語7 悪名高き皇帝達」読了しました。取り上げられた4人の皇帝、すなわち、ティベリウス、カリグラ、クラウディウス、ネロについて、全員が全員「悪政」を敷いたわけではない、というのが塩野さんの見解だったのではないか、と思います。

ティベリウスは、帝国の統治を盤石なものとするべく、軍団を配置し、有能な指揮官達を派遣し、財政の健全化に努めた。けれども、晩年はカプリ島に隠棲しながら帝国を統治したということで、ありもしない噂を立てられてしまったり、財政健全化のために、大盤振る舞いをすることもなかったので、評判は芳しくなかったということなのだと思います。

カリグラは、一刀両断。だめですね。ティベリウスと一緒に暮らしていたので帝王学は学んでいたはずですが、大盤振る舞いをしたのは良いけれど、派手なことばかりするようになって、財政を悪化させてしまう。エジプトからオベリスクを運ばせたり、巨大な船を作ったり……。だから暗殺される。

クラウディウスは、地道な統治で帝国は安定したけれど、皇帝としての迫力に欠けていた感があって、諸手を挙げて支持されたわけではなかったのです。私としてはクラウディウスにはがんばってほしかったのですが、最後に娶った妻がいけなかった。小アグリッピーナという名前ですが、彼女がクラウディウスを毒殺したとされています。その理由は、クラウディウスの実子を差し置いて、連れ子のネロを早々に皇帝に即位させたかったから。早々に、というのは、ネロが若いうちには、小アグリッピーナ自身が権力を握りたかったから。烈女というか、悪女というか……。

ネロは、必ずしも頭の悪い男ではなかったですし、統治期前半は、セネカなど優秀なブレーンがいましたので、当初はそうそう酷い統治ではなかったのですが、母親や妻を殺し、セネカを殺し(自死に追いやる)、有能な指揮官達をだまし討ちにすることで、人心は離れて言ったのですね。キリスト教の信者を虐殺したのも、評判を落とした原因の一つ。ローマ大火の犯人としてキリスト者達を死刑にした点については、当時も評判が悪かったし、後世のキリスト教側から書かれた史書においても当然厳しい評価が下される。まあ、後半はやっていることがほとんどバカ皇帝ですから仕方がない。いくら皇帝でも、うまくもない歌を歌いにギリシアまで巡業するなんて馬鹿げています。というわけで、ネロ帝は属州で起きた叛乱に追い詰められて自死となります。

というわけで読了ですが、少々読むのに時間がかかりました。次は8巻「危機と克服」です。なんとか9巻「賢帝の世紀」まで今月半ばまでに到達できれば、と思っています。