Japanese Literature

諏訪哲史さんの「りすん」を読みました。

芥川賞後初めての小説ということですが、そうそう長くもなくて、一気に読み終わるのですが、まるで蜜蝋を煮詰めたような充実度で驚愕しました。

うまく解釈できたとはいえなくて、今でも考えています。そういう意味では哲学書のように読み応えのある本。会話だけの小説という奇異さ、メタ視点が二重にかかっていると言う面白さ、現実のほうがより小説的であるという達観、奇抜な言葉の乱舞のこと。

ただ、言えることは、この本を読むということは、あまりにもすさまじい頭脳とやり取りをしているのだな、ということ。好奇心がむくむくと湧いてくるのだが、まだうまく扱うことができないというもどかしさ。 そういう意味ではあまりにも大きな刺激をうけて呆然となっているような、状態。さらに反省が必要です。もっと粘り強い思考力を持って対峙していかなければなりません。

このブログは音楽ブログでもありますが、辻邦生さんを中心に、書評のようなものや文学についても書きついでいこうとも思っていました。ですが、クラシックを聴いて書くのが楽しかったということもあって、文学のほうは少々手抜かり気味でしたね。ちょっとこれからはもう少し小説についての感想だけではなく、小説自体を考える、といった方向性もなければならないなあ、、と少々反省。。 といいながら、明日になったらまた音楽のことを書いていそうですけれど。

今週の仕事も残り一日です。トラブルはまだまだ続いていて、土日も出社するメンバーがいるということで、少々気が引けるのですが、まあ仕方がないです。今週末は楽しみな予定もありますので、いい週末になりそう。ただ天気が悪そうですけれど。

Roma2008

10時間も眠り続けて、起き上がるとまだ6時。食事の時間まであと1時間。シャワーを浴びて身づくろいをして食事に。

Hotel Giorgiの朝食はいいよ、とネットに書いてあったので、どれどれ、といってみると、おー、これは素晴らしい。クロワッサンにヨーグルト、キュウリとトマトのスライス、ブラッドオレンジのジュース。ビュッフェスタイルなので、ちょっと油断をすると食べ過ぎてしまうぐらい。

食事を済ませて、外に飛び出すと、今日もいい天気。タバッキ(キオスク、タバコ屋?)で地下鉄・バスの一週間チケットを買おうと思うのだけれど、できればクレジットカードで買いたいなあ、とおもって色々回ってみるが、クレジットカードでは買えないことが判明。それだったら、最初のタバッキの感じの良いおじさんのところで買えばよかったなあ。

一週間チケットをゲットして、急行バス40番でヴァチカンへ。この40番バスはテルミニ駅からサンピエトロ広場近くまでを途中の停留所をいくつも飛ばしながら走っていく。バスは混でいるのだが、だれもが観光客らしく、なれない手つきでチケットをバリデイト(タイムスタンプを押す機械に差し込むこと)している。

バスが走り始めると、めまぐるしく変わる窓の外の眺めと地図を交互に見ては、バスがどのあたりを走っているのか確認していくのだが、これはなかなか難しい。地図には停留所(フェルマータ)の位置など書いていない。道の交差の具合とか、建物の雰囲気を推し量りながら、地図をトラッキングしていく。

気づくとテヴェレ河を渡る橋に到達し、程なくしてサンピエトロ寺院を正面に見る通りに到着。ここが終点と見えて乗客たちがぞろぞろと飛び出していく。 道に降り立つと正面にサンピエトロ大聖堂が見える。アイボリーの石造りの巨大建築。クーポラの向こう側は真っ青な空。雲ひとつないではないか。まだ朝早いと見えて、人通りは思ったより多くはない。サンピエトロ広場もがらんとしていて、人気がない。いや、そうではない。サンピエトロ大聖堂もサンピエトロ広場もあまりに巨大で、人が目立たないのだ。よくよくみると少ないながらも人が三々五々歩いているのが見える。

サンピエトロ広場に入ると、国際法上は別の国に入国したことになる。境界をまたいで意味もなく満悦。

Alban Berg

やばいですね。忙しすぎて、バランスをとるのが難しいです。昨日のヤノヴィッツさんの記事もかなりギリギリな状態で書いていたので、若干不満あり。リベンジしないと。

なぜこうも忙しいのかというと、まあ先日も書きましたが、トラブルに見舞われているためでして、今日も木曜日までに作る資料ができていないことがわかりましたので、すぐさま作らないと。

こんなときに、アバドのベルク「ルル組曲」を聴いてみると、これがまた素晴らしい!

ベルクの音楽は、調性と無調の間をゆらゆらといったりきたりしながら進みますので、いい意味で期待を裏切られ続け、その意外性に心がどうにかなりそうになる。それは時に酩酊へ、時に憂鬱へと誘うものです。繰り返し聞くうちに旋律、響きが徐々に自分の中で肉化していく。心地よいというわけでは決してありませんが、さりとて、居心地の悪さを感じることもない。暮色が濃くなる夕方、日が沈み、空が変色していくのを眺めながら夜を待つときの気分に似ています。夜もまた酩酊と憂鬱の狭間で揺らめくものですから。

このアバド盤の録音がいいのですよ。少し波長の長いリヴァーヴが聴いていて、まるで底の見えない蒼い海の深淵を覗き込んでいるような気分になります。ライナーに小さくAnvil Films Studioと書いてあります。ググってみても出てこない。しかし、いい響きです。 

  • 作曲==アルバン・ベルク
  • 指揮者==クラウディオ・アバド[←アッバード]
  • 管弦楽==ロンドン交響楽団
  • ソプラノ==マーガレット・プライス

Classical,Opera

Gundula Janowitz

<略歴> 1937年8月2日ベルリン生まれ(国籍はどうやらオーストリアの模様)のリリック・ソプラノ。グラーツのコンセルバトールで学んでいたときにはすでに高いレベルでの歌唱をものにしていて、1959年にはウィーン国立歌劇場にてカラヤンの振るフィガロの結婚でバルバリーナ役を歌っている。1960年代から1970年代にかけてバッハからリヒャルト・シュトラウスにいたるまでのレパートリーを持つ世界的な歌手となる。カラヤンはもちろん、クレンペラー、ヨッフム、バーンスタイン、クーベリック、ベーム、ショルティ、カルロス・クライバーと競演。1990年にウィーン国立歌劇場におけるグルックの「アウリスのイフィゲニア」への出演を最後に引退する。

 <私的な思い出>

ヤノヴィッツさんの歌をはじめて聴いたのは、リヒャルト・シュトラウスの「カプリッツィオ」のCDにて。ベームが振っているこの盤の魅力は、ヤノヴィッツさんの伯爵夫人の最後月光の音楽以降です。この歌唱でヤノヴィッツさんを一気に気に入ってしまいました(とあるサイトではあまりよい評価はされていないようですが)。

Capriccio
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次に衝撃を受けたのは、カラヤン盤の「ヴァルキューレ」でして、ジークリンデがすばらしくて、ジークリンデを神々しく歌っておられて、特に第一幕第三場のSchlafst du Gast? の歌唱はすばらしい。繊細なガラス細工のようないとおしさです。

ワーグナー:ニーベルングの指環 全曲
トーマス(ジェス) ブリリオート(ヘルゲ) フィッシャー=ディースカウ(ディートリヒ) ヴィッカース(ジョン) シュトルツェ(ゲルハルト) スチュアート(トマス) カーンズ(ロバート)
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ヤノヴィッツさんの声がどうしてこんなに好きなんだろう、と考えていたのですが、Wikipediaに「ビブラートが小さく、ピュアで明るい歌声」と書いてあって、これだ! と思いました。私は、女声のビブラートがときに苦手と感じることがあって、振幅の激しくて強いビブラートしか聞こえないような声を聴くと気分が悪くなります。ビブラートをかけるとピッチの甘さがややもすると隠し通せるのです。ですが、ヤノヴィッツさんはビブラートはかけていますがかなり控えめでして、ヤノヴィッツさんの声が好きな理由の一つがこれなんだな、と思いました。

<参考文献>

Wikipedia

 

J.S.Bach

いやあ、先週から今週にかけて夏祭りです。といってもあまり気の乗らない夏祭り。久々に会社のシステムが大爆発を起してしまい、収拾に大わらわです。私の記憶では入社以来二回目の最大級爆発です。本来なら休日出勤なのですが、事情により私は免除。しかしながら、私に割り振られた作業が少なくなるわけではありませんし、普段の仕事も抱えていますので、かえって休日出勤をした方が後々では楽なのではないか、という説も。というわけで、ああ、今週は人事面談もあるのです! 資料作ってないし。まいったな。

家に帰れば、たくさんの作業リスト。昨年流行った「GTD的手法」で、やるべきことをとりあえず思い切り書き出してみて、スカッとした感じ。まあ全部はできないでしょうが、人生とはそういうものですよね。なんでも8割ぐらいできればいい方なんです。でも、システムは10割主義ですので、困るわけです。ああ、結局また大爆発ネタに戻ってしまった。

ともかくバッハを聴いています。こういうときこそ、静かにバッハを聴いて心を落ち着かせたいものです。ブレンデルが弾くイタリア協奏曲です。

作曲は1734年ですので、バッハ49歳頃の作品。バッハはイタリア音楽の研究に余念がなかったようで、先だって取上げたコレッリや、ヴィヴァルディなどの研究を青年時代からしていたようです。イタリアバロック音楽はヴィヴァルディにおいて確立されましたが、バッハはヴィヴァルディらイタリアの作曲家のヴァイオリンのための協奏曲をチェンバロのタメの協奏曲に編曲していたのです。そういう背景のもと、このイタリア協奏曲が成立しました。クラヴィーア一台で演奏されますが、総奏的な部分と独創的な部分のコントラストが上手く表現されています。全三楽章は、急-緩-急の組み合わせで、この形式もヴィヴァルディに影響を受けた模様。ヴィヴァルディの「春」もやはり急-緩-急でした。

個人的な思い出ですが、高校時代の友人で、ピアノの巧い男がいたんですが、互いの家が近かったと言うことでとても仲良くなりました。彼が家に来て弾いてくれたのが、このイタリア協奏曲です。私も譜面を手に入れて弾こうと思ったのですが、難しいです。左手の内声部のパッセージが速くて、右手と左手の同期が取れないです。右手も弱っていましたし、左手なんてもっと弱っていますから、弾けっこないんです。1ページぐらい弾いて挫折。でも、最初の短和音を弾いただけで嬉しくなったものです。一台で協奏曲をやるわけですから、自ずと右手と左手がバラバラに複雑に動くので、ピアノ素人にはなかなか難しかったです。

ブレンデルの演奏は少しリズムに揺らぎがありながらも、端正でまめやかなのです。フェルメールの絵のような静謐な美しさ。落ち着いた色調の中に注意してみてみると光の輝きが表現されているといった感じ。美飾華麗な教会ではなくて、粗野な石造の教会だけれど、中に入ると祭壇の背面のステンドグラスだけが静かに輝いている、といった感じ。力強さとか情熱とかいう言葉は当てはまりません。

少し涼やかな日が続いている気がします。ふとした拍子に秋を感じますね。蝉の骸が地面に幾つも落ちていて、鉄砲百合も絢爛な花びらの色を変えて頭を垂れて始めています。夜気は冷たく、微風にのって虫の声が聞こえ始めました。季節は容赦なく弧を描いて回りますが、そうした円環の回転に取り残されないように生活していきたいものです。

Alban Berg

昨日の続きです。抒情組曲をさらに繰り返し聞いています。

アルバン・ベルクは、シェーンベルク、ウェーベルンと並ぶ新ウィーン学派三巨頭の一人ですね。若い頃にはマーラーやシュトラウスに傾倒しましたが、作風は無調から十二音技法、そして十二音技法と調性音楽の融合へと進んだ作曲家で、オペラで言うと「ヴォツェック」や「ルル」を作曲した方。ブーレーズは「ヴォツェックはオペラそのものの総括であり、おそらくヴォツェックをもって、このジャンルの歴史が最終的に幕を閉じたのである」と語っています。

個人的には、かつてBSで放送されたグラインドボーン音楽祭で演奏された「ルル」に衝撃を受けたのがベルクを聴き始めた始まりです。あの映像はDVD化されていますが、「ルル」についてはまた今度。

ベルクはなくなる10年前から、ハンナ・フックス・ロベッティンという夫ある女性と激しい恋に落ちていたのですが、この抒情組曲はハンナへの愛情が表現されているのだそうです。譜面上にアルバン・ベルクのA・B音とハンナフックスののH・F音が表されているのだそうです。人間の愛憎の問題は何時の時代にもあるもの。興味は尽きませんね。

抒情組曲自体は弦楽四重奏のための作品で6つの楽章を持っています。弦楽合奏版もありますが、第二、第三、第四楽章のみが編曲されているだけです。

実は、私はこの曲を聴いて、素晴らしいと思うのですが、それを言語化する道が見つからずに困っているという状態です。先日も「クラヲタへの100の質問」のなかでも少し書きましたが、一体「音楽が分る」というのがどういう状態のことを指すべきなのかといことを考えずにはいられません。

おそらくはレヴェルがあって、音大の楽理科を出たような方の「分る」と、一般愛好家の方が「分る」というのでは量的な差異があると言うことなのだと思うのですが、それが倫理の問題に発展していって、楽理科の方の「分る」があるべき「分る」であって、私のような駆け出しの音楽愛好家が「分る」というのは許されないのではないか、という怖れがでてくるのです。 まあ、考え過ぎなのかも知れません。

駆け出し音楽愛好家は、そのレヴェルで全力を尽くして、あわよくばレヴェルをあげていけるように日々努力を惜しまず、というところが落ち着く結論なのだとは思います。譜面読んだり本を読んだりして日々謙虚に勉強をします。

Methodology

仕事でとあることについて突っ込んだ調査をしなければならなくなりました。大学で言えば卒業論文のようなものでしょうか。参考文献をそろえて、本を片っ端から読んで、カードを作って、文章を書いていくというイメージです。

大学生のころは、本を読んでルーズリーフの片面だけに本からの抜書きを書いたり、考えたことを書いたりしていたのですが、どうもその方法でうまく論文がかけたとは言いがたかった記憶があります。当時は今ほどPCも進化していませんでしたので、PCにデータを入れて論文を書くという発想があまりなかったですね。まだ学生でしたので、一番安いメディアである紙(ルーズリーフ)に頼らざるを得なかったということもあります。

ルーズリーフだと、手軽に書き込んでいけるのですが、あのこと何処に書いたかな、という風に、以前書いた内容を見つけ出すのが難しかったり、(私は文字が汚いので)何を書いているのか分らなくなってしまう殴り書きのメモに困ってしまったりしていました。おかげでせっかくルーズリーフに書いた情報を有効に生かすことができなかったのです。

今なら、読んだ本の気になる部分をPCに入力して、データを有機的に活用して文章に落としていくことができるはずなのですが、何年も色々試しているのですが、これといった気に入った方法はありませんでした。テーマ毎にテキストファイルを幾つも作る、という方法も考えたのですが、ファイルが幾つもできて整理しにくいですし、HTMLサイト的なものをローカルディスクに作って情報をまとめていったこともありましたが、HTMLのタグうちが意外と面倒で、入力速度が鈍ってしまい実用には耐え得ない状態でした。

こうしたつきぬ悩みを持ち続けて十年ぐらい経とうとしていました。ですが、とうとう決定的なソフトを見つけることができたかも知れません。先日もご紹介しましたが、そのソフトは昨年購入したMirosoft Onenote 2007です。

このソフトは、簡単に言えば「ノート→セクション→文書」という単位で文書を管理することができるソフトです。これはルーズリーフのメタファーになっていると考えるとわかりやすいです。

実世界で「音楽」というルーズリーフファイルを作ったとします。色の違う中仕切りを買って来て、それぞれタグに「作曲家」、「歌手」、「オケ」、「指揮者」と書き込みます。中仕切りの間にルーズリーフを挟んでいきます。「作曲家」であれば、バッハのページがあり、モーツァルトのページがあり、ベートーヴェンのページがあり……という具合で、「歌手」ならパヴァロッティ、カレーラス、ドミンゴ、シュヴァルツコップ……といた具合です。

これをPC上で実現するのがOnenote2007です。私は実際に「Music」というノートを作りました。Windows上では、「ノート」が一つのファイルとなります。このファイルの中に、「セクション」を作っていきます。さっきと同じように、「Singer」、「Orchestra」、「Conductor」という具合です。

セクションの中には個別のページを作ることができます。ルーズリーフの一枚一枚を作っていくのと同じです。 こうして、PC上に幾つもルーズリーフファイルを作成できます。

ルーズリーフには何でも書き込んでいってOKです。Unicodeですので、ウムラウトもOK。英単語のスペルチェックもありますし、簡単な表も書くことができます。タブレットPCだと手書きもできるらしいですね。ウェブページを取り込むこともできます。Internet Explorerを使っている方は、ボタンひとつでウェブページをOnenote2007にインポートできるのです。

そして、なにより優れているのが、MicrosoftのDOS以来の呪縛であるSave(保存)という作業から解放されているということ。つまり、保存操作をしなくても、Onenoteが勝手に一定時間毎にファイル更新をしてくれのです。ですので、保存をし忘れて文書を失うといったリスクがほとんどないのです。

そういえば、あのことを何処に書いておいたかな、という時には全文検索も可能です。ただ、デフォルトでは検索速度がとても遅くてイライラするのですが、Windows デスクトップサーチを導入すると、記事がインデクス化されて、全文検索の速度は実用的な速度になります。このWindowsデスクトップサーチの導入で検索速度が向上したのが、Onenote2007を使って仕事をしていこう、という決定打になりました。

実際、これまで1年間ほどOnenoteを使っていまして、このブログの下書きする際ににも使うことが多いのです。このソフトを使えば、最近頻繁に起こっていた「書いた文章を消しちゃった」事件からも解放されます(先日の事故は、別のツールを使っていて発生したものです)※。 また、実際に、音楽関連の情報収集にも使っています。日記的なものもこちらに入れるようにしています。

※ 余談ですが、「保存からの解放」はGoogleドキュメントやGoogleノートでも実装されはじめていますね。いずれも一定時間に定期的に自動保存されますので。

ちろん、Onenote2007に対する不満もあります。完璧なソフトなどあるわけないので。たとえば、以下のような感じです。

 テキスト関連

  • テキストの一括置換をできるようにしてほしい。
  • 「形式を選択して貼り付け」が必要。

 表示関連

  • ノートやセクション、ページの色指定は、任意の色を選べるようにしてほしい。今はリストに入っている色を選ぶことができるだけ。

 マクロ・スクリプト

  • VBAベースのスクリプトを搭載してほしい(少し要求高いですが) }

連携

  • オブジェクト貼り付けができるようにしてほしい。ノートの中にワードやエクセルオブジェクトを埋め込めるようにしてほしい。
  • ○ FirefoxからOnenote2007への取り込みをサポートして欲しい(これはMicrosoftに期待しても無理。どなたかがFirefoxのプラグインを作って下さると良いのですが……)

 Onenote2007についてはまだまだ書き足りないところです。このブログは音楽、文学ブログですが(本当に?(笑))、音楽や文学の情報収集にOnenote2007は結構使えるよ、と

Opera

カラヤン盤、ドンジョバンニ、ライナーノートの対訳を読みながら全曲聴き終わりました。通勤時間にライナーを見ながらiPodで聴いていたのですが、4営業日ぐらいかかってようやく、というところ。楽しかったです。

(ネタバレありですので、ご注意下さい)

それにしても、このオペラって、ジョバンニ、レポレロ、エルヴィラが大変ですね。むしろ、レポレロ、エルヴィラの二人の出来不出来がこのオペラの成否を握っているのではないでしょうか? もちろん欲を言えば、アンナ、ツェルリーナ、オッターヴィオも巧い方に歌って欲しいですが。

今回聴いた中で、気に入ったアリアはエルヴィラのアリア、第一幕第三場「ああ! だれが私に告げてくれるでしょう」と、第二幕第21場の「あの人でなしは私をあざむき」でしょうか。アグネス・バルツァさんが細やかなレース織のような美しさを披露して下さいます。

エルヴィラは本当に不思議な女性です。ドン・ジョヴァンニに棄てられて怒っていると思いきや、まだあきらめきれずにいて、ドン・ジョヴァンニを改心させようとまでする。真面目一徹な女性。それでいて美しいとなると、得難い女性だと思うのですが、ドン・ジョヴァンニは質ではなく数な男なのですね。エルヴィラはドン・ジョヴァンニへの憎しみと愛情の板挟みで苦しみ続けます。ドン・ジョヴァンニが地獄落ちとなってからのエルヴィラの心情の動きはリブレットからは読み取れませんが、これから後も、相反する感情にしばらくは苦しむことになるのではないか、と思います。

しかし、騎士長が冒頭に殺されてしまい、どうなるかと思ったのですが、あんな形で復活するとは驚きました。最終幕部のドン・ジョヴァンニの振る舞いは尊敬に値しますね。あそこまで勇気を持ち潔いとあれば、騎士の名も廃ることはありません。

そもそもこのオペラを聴こうと思ったのは、新国立劇場で12月に公演があるからです。新国立劇場のアンサンブルは、ツェルリーナ、マゼット、騎士長は日本人で、そのほかは外国勢。別に日本の方の歌を否定するわけではありませんが、欧州のほうが裾野広く歴史も深いわけですので、当たる確率は高くなりますので。

Opera

昨日の記事に追記の形で。

このホフマン物語はコベントガーデンで収録されたものです。ホフマン物語では、ジュディッタ、オランピア、アントニアのソプラノ4人にくわえて、狂言回しとまでは生きませんが、舞台を鳥瞰する役割を担うズボン役のミューズ=ニクラウスのメゾソプラノが登場します。もちろん悪役のリンドルフもしっかりしたバスバリトンでなければだめ。主人公のホフマンだって、並大抵のテノールではなかなか勤め上げることはできないでしょう。

実は、「ホフマン物語」は二度見たことがあります。空恐ろしいことに1回目はウィーン国立歌劇場にて。2回目は東京の新国立劇場にて。ウィーンの「ホフマン」は演出、歌手どなたもすばらしくて、圧倒され続けました。ホフマンはサバティーニでした。あそこまでオペラの舞台は力を持っているのか、と本当に驚いたのでした。

桟敷が同じだった年配の女性(日本人の方です)と話す機会がありまして、その方は「ウィーンでみたあとだと、東京の「ホフマン」はがっかりされるかも知れませんよ」などとおっしゃっていたのですが、新国立劇場のほうも、ウィーンとまではいきませんでしたが、健闘が見られたと思いましたね。出色のできはエレナ・ガランチャさんのミューズ=ニクラウスでした。

そこで、このDVDの紹介なのですが、ここではジュリエッタをアグネス・バルツァさんが歌っておられます。ドン・エルヴィアの時と同じように、やはりソプラノパートを、メゾソプラノも歌えるバルツァさんが起用されているわけです。ここでもやはり、「ドン・ジョヴァンニ」で感じた透き通る美しさを堪能することができます。どうやら僕はバルツァさんの高音域の力のある透明な声に魅せられているようです。だから「ばらの騎士」のオクタヴィアンの歌唱では焦点が良くあわすことができなかったのだ、というところだと思います。残念なのは、ジュリエッタの幕は他の幕に比べて少し短いところ。バルツァさんの歌がもっと聴きたかったのですが。もちろんホフマンを歌うプラシド・ドミンゴの若々しく張りのある歌声にも参った、という感じです。

Classical,Opera

「この方を聴きたい」というシリーズを始めることにしました。私の勉強したことを書きますので、お読みの方々にとっては自明のことかも知れませんが、どうかおつきあいを。

第一回は、最近の私的ブームであるアグネス・バルツァさんを取り上げたいと思います。

アグネス・バルツァAgnes Baltsa Aγνή Mπάλτσα)

<略歴>

1944年11月19日ギリシア生まれ。アテネ音楽院で学んだあと、ミュンヘン、フランクフルトで学ぶ。1964年、ジョルジュ・エネスコ声楽コンクールで第一位となる。1968年フランクフルトの歌劇場で「フィガロの結婚」のケルビーノ役でデビュー。翌年※1ウィーン国立歌劇場「ばらの騎士」でオクタヴィアンを歌う。1970年にはザルツブルク音楽祭に出演。世界的に有名になったのは1975年のザルツブルクイースター音楽祭でカラヤンがクリスタ・ルートヴィヒの代役として起用してから。「カルメン」のタイトルロールが当たり役。バルセロナオリンピックの開会式にも出演。レパートリーは、「カルメン」タイトルロール、「コジ・ファン・トゥッテ」ドラベッラ、「ナクソス島のアリアドネ」作曲家、「トロイ人」のディド、「ドンカルロ」エボリ公女、「アイーダ」アムネリス、「サムソンとデリラ」デリラなど幅広い。

※1:「ばらの騎士」「ドン・ジョヴァンニ」のライナーでは、「1968年の翌年」とあり、1969年と推測されるのだが、ウィキペディアでは1970年にウィーン国立歌劇場デビューとされている。

<私的思出>

アグネス・バルツァさんをはじめて聞いたのは、「ばらの騎士」をカラヤンが二回目に振った盤で、やはりオクタヴィアンを勤めていらっしゃる音源がはじめて。バーンスタインが振るマーラー交響曲第八番のDVDもアグネス・バルツァさんが登場しているのを見たりもしていました。ところが、不思議なことにあまり気になる存在の歌い手さんではいらっしゃらなかったのです。

それが覆ったのは、最近集中的に聞いている「ドン・ジョヴァンニ」カラヤン盤のドンナ・エルヴィラ役を聞いてから。この透徹とした、まるで雪の結晶のような美しさは! 高音域の声が録音場所のベルリン・フィルハーモニのリヴァーヴによく乗っていて、きいているだけでうれしくなります。

バルツァさんはこのCDでは子音を弱めに発音されているように思えます。イタリア語の子音の持つアタックが少し弱い感じなのですが、それが却って歌の旋律の流れを浮き立たせていて心地よいのです。

そうして改めて、「ばらの騎士」カラヤン盤のオクタヴィアン役を聞いてみると、自分がアグネス・バルツァさんの歌に焦点をまったく合わせていないことに気づいたのでした。「ドン・ジョヴァンニ」のエルヴィラ役のようなほとばしる輝きは見られないのですが、深みのある声で充実した歌声を聞かせてくれます。

調べてみると「カルメン」が当たり役だということを知りました(いまさらで申し訳ないですが)。是非にも聴いてみたいですね。課題です。

<私的な参考音源>

  • R・シュトラウス「ばらの騎士」(CD)
    R.シュトラウス:ばらの騎士
    トモワ=シントウ(アンナ) ウィーン国立歌劇場合唱団 ペリー(ジャネット) リップ(ビルマ) ポッシュナー(ブリギッテ) シマ(ガブリエレ) バルツァ(アグネス) ビンザワー(バルトラウト) ミュラー=モリナーリ(ヘルガ) ヒンターマイヤー(マルガレータ)
    ポリドール (1997-04-09)
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  • モーツァルト「ドン・ジョヴァンニ」(CD)
    モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」
    カラヤン(ヘルベルト・フォン) レイミー(サミュエル) ブルチュラーツェ(パータ) トモワ=シントウ(アンナ) ウィンベルイ(エスタ) バルツァ(アグネス) フルラネット(フェルッチョ) マルタ(アレクサンダー) バトル(キャスリーン)
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<参考文献>

  • 黒田恭一「歌い手について」『ドン・ジョヴァンニ(F95G 20068/70)』 CDライナー
  • 「演奏者紹介」『ばらの騎士(POCG-3598/700)』CDライナー
  • 「アグネス・バルツァ」『ウィキペディア日本語版』2008/08/20 4:35JST