Miscellaneous,Richard Strauss

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かなりご無沙汰になってしまいました。

先日所用でとおりがかった立教大学です。辻邦生は、1966年から1972年まで立教大学一般教育部助教授として勤めていました。ここもゆかりの場所というところになります。半世紀も前のことになるわけですね。なんともかんとも。

身体を使いすぎると、復旧に時間がかかります。これは昔も今も変わりません。復旧しきらないと、ダメージが広がりますので、気をつけないと。

先日も書きましたが睡眠をとって、よく食べるのが大事です。

今日はこちら。

シュトラウスの標題交響曲ですが、初期の交響詩に比べると円熟味が増している、と書くと、なんだか雰囲気で書いているような気がします。ですが、これは本当で、というのも、この曲は 《ばらの騎士》や《ナクソス島のアリアドネ》を作曲したのちに書かれたものだからです。

《サロメ》、《エレクトラ》でシュトラウスなりの「前衛」を極め、その後、人間味あふれる《ばらの騎士》や 、洒脱な《ナクソス島のアリアドネ》(この後ろに《町人貴族》があることもお忘れなく)を通り抜けたあとのこの《アルプス交響曲》となると、聞く方も、なるほど、と思います。

さすがにアルプスの山登りを書いただけとまではいきません。いや、アルプスの山登りの情景をここまで的確に描くということは常人にできることではなく、それはまるで黙劇たるオペラを見ているような気にもなるわけです。

ですが、裏テーマも充実していて、ニーチェやマーラーの影響を見て取ることもできるというものです。

http://www.asahi-net.or.jp/~wg6m-mykw/Library_RStrauss_AlpineSym.htm

ブロムシュテットの指揮は、マゼールとは違う重みがあります。重心の位置が違います。確かに重いのですが、なにか爽やかなに逃げ去るような洒脱さがありますね。

ちょっと仕事場の人に聴いてみてもらおうかな、と思っています。

R.シュトラウス:アルプス交響曲 交響詩 ドン・ファン
ブロムシュテット(ヘルベルト)
ユニバーサル ミュージック クラシック (2003-06-25)
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それにしても、最近の音楽の関心が徐々にフランス系音楽に行っているのはどういうことなんでしょう、と。思わずフォーレのピアノ曲集を聞いてしまうとか、オルガン曲を聞いてしまう、とか。

なりわいも仕事も盛りだくさん。身体に気をつけてモリモリ食べて頑張ります。

ではおやすみなさい。

2014/2015シーズン,Giacomo Puccini,NNTT:新国立劇場,Opera

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はじめに

幕がひけた後の新宿です。もうちょっと引くと面白かったのですが、iPhoneの単焦点レンズですと、こんなかんじにしかなりません。まあ、限定されたものの面白みというものがあるのだと思います。

マノン・レスコー、引き続き

歌手勢では、マノンを歌ったスヴェトラ・ヴァッシレヴァがとりわけ印象的です。舞台がキリッとしまりました。

特に、二幕のマノンの悪魔っぷりがいい感じです。あそこは、マノン役の見せ場だと思いますが、本当に濃密で集中したパフォーマンスでした。時を忘れた感じです。

さすがにそれらしい演技です。でも本当の悪魔はそうではないのかも、とも。とにかく、男はアホですな、というのが結論か。経済学は女性のほうが得意なのでしょう。

ヴァッシレッバは低音域も豊かで、重みのあるソプラノです。プッチーニ役が得意とのことですが、ヴェルディの主役級はいけそうです。ヴィオレッタは当然ですが、この方のデズデーモナとか聴いてみたいです。なんか、《ばらの騎士》の元帥夫人とか《カプリッチョ》の伯爵夫人もいけるのでは、とか思ったり。あるいはジークリンデ、とか。本当に綺麗な方です。

第二幕の途中登場のダンサー。男性ダンサーが女性的バレエを踊るという、フランスの頽廃を皮肉ったもの。男性が白粉で顔を真っ白にしているというのもなにか示唆的です。中性化が革命につながる? そういうものなのでしょうか。

終わりに

今日、一緒に飲んだ高校時代の友人。幼稚園に通う娘さんがいるのですが、一言こうおっしゃっていました。

「女の子は女だよ!」

ありがとうございました。今日一番の名言をいただきました。

ではグーテナハトです。

Giacomo Puccini,NNTT:新国立劇場,Opera

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はじめに

今日の新国立劇場の水庭。静謐な水面です。

今日は《マノン・レスコー》。2011年3月にプレミエが予定されていましたが、震災のためゲネプロをやったところで中止となった、という事情のあるプロダクションです。

4年前のブログにもいくつか書いておりました。

https://museum.projectmnh.com/2011/03/14214016.php

https://museum.projectmnh.com/2011/03/20193219.php

日本人にとっては、このプロダクションはなにか感じるものとなります。当時のブログ記事には先行きの見えない不安や悲観が書いてありました。実際には、震災当時八千円だった日経平均は二万円目前まで上がっています。2020年のオリンピック開催も決まりました。しかし、福島第一は引き続き先に見えない修復作業をおこなっており、復興も道半ばです。

そうした中にあって、中止されたこのプロダクションが復活するということは、当時失ったものを一つ取り戻した形になる、ともいえるでしょう。

今日の演奏

それにしても、ピエール・ジョルジョ・モランディの指揮が素晴らしかったです。

この方、元はオーボエ奏者でいらっしゃいます。その後、ムーティのアシスタントになり、バーンスタインや小澤征爾に師事し、 1989年にローマ歌劇場の首席指揮者という経歴を作ったようです。

先日、シノポリの画期性とは? という記事を書きましたが、カラヤン後にあってテンポをうごかした、というところにあるのでは、と思いました。80年代にあの様な演奏はに「戻した」というのが画期的だったのでしょう。

今日ではめずらしくはありませんが、今日の指揮もやはりそうしたテンポを動かしてドラマを際立たせるものでした。特に二幕の最後の駆け上がるような加速とか、極端にテンポを落としてみせるところは、なかなか圧巻でした。

ドラマをきちんと成立させる指揮という意味で、完全な指揮でした。まずはそこがあって、その上で、です。今回はその上もできていましたから。間奏曲の弦の厚みとか、うねるグルーブとか、絶妙なダイナミズムなどは、緻密に行き届いた名画を見るようでした。

さしあたり

今日は一旦ここまで。明日に続きます。

それではおやすみなさい。グーテナハトです。

Giacomo Puccini

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なにか春の風情が日に日に色濃くなる東京地方の今日この頃です。なんだか、めまぐるしく動く年度末な感じ。つうか、水面に落ちる影が綺麗。

マノン・レスコーを鋭意予習中です。ナクソスミュージックライブラリーのおかげで、同曲異演の確認ができるようになっていいですね。

今日はこちらを。

プッチーニ:歌劇「マノン・レスコー」全曲
バルトレッティ(ブルーノ) アンブロジアン・オペラ合唱団 カバリエ(モンセラ) サルディネロ(ビセンテ) ドミンゴ(プラシド) ティアー(ロバート)
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私が聞いているシノポリ盤とおなじく、ドミンゴが参画していますが、音作りが違います。シノポリ盤はなにか交響曲を聴くような音の統一感がありますが、この盤は、伝統的なヴェリズモオペラのような劇的な感覚です。なにか古い感じがします。

つうか、間奏曲の最後のフレーズ、マーラーの復活にクリソツだ。。

先週、今週と徹夜仕事をする機会があって、生活リズムがイマイチ。いや、もう徹夜はできる人とできない人がいるし、徹夜すればするほど寿命が短くなるわけですから、とっとと寝たいんですけれどね。。早く人間になりたい。

ではおやすみなさい。グーテナハトです。

Gustav Mahler,Symphony

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行き交う人もまた旅人なり。

オペラシティでの風景。こういう無機質な雰囲気も嫌いではないです。

マーラー:交響曲全集
マーラー:交響曲全集

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オムニバス(クラシック) アバド(クラウディオ) ウィーン国立歌劇場合唱団 シュターデ(フレデリカ・フォン) ベルリン放送合唱団 ステューダー(シェリル) ウィーン少年合唱団
ポリドール (1995-07-07)
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昨日から、アバドのマーラー全集のなかから、7番を聴いています。

以前も書いたかもしれませんが、こんな会話をしたことが有ります。

  • 私   「昔はマーラーが好きでしたが、今はシュトラウスが好きです」
  • Aさん 「え? 普通逆じゃないですか?」

私のイメージでは、マーラーは、実に直情的に世界を描いているのだと思います。ですが、シュトラウスは婉曲に世界を描いているのではないか、などと思います。哀しみや怒りは、マーラーの場合、直接心に響きますが、シュトラウスの場合は、物語の中に横たわっていて、あとでジワリと効いてくるような感覚です。

ですので、マーラーが少し激しすぎて、なかなか乗れない時期というのがあって、それが最近ようやくとけてきたなあ、という感じです。

アバドの指揮は実に陰影がはっきりしています。ひとことで言うと、「狂おしい」演奏、なのかもと思います。

それにしても、こういうアバドの指揮の機微が分かるのも、音楽を聴き続けてやっと、というところですね。さすがに聴き始めた小学生や中学生の頃は、そこまでわかりませんでした。あの頃は、同曲異演の違いなどわかりませんでした。まずは、いろいろな曲を聴きたいという感覚が強かったですし、当時はレコードやCDを買う資力もありませんでしたから。今は、NMLがあったりしますのでまた事情はべつでしょうね。

では、今日もグーテナハトです。みなさま、よい週末をお過しください。

Béla Bartók,Opera

J.シュトラウス:喜歌劇「こうもり」全曲
クライバー(カルロス) クシェ(ベンノ) プライ(ヘルマン) ヴァラディ(ユリア) レブロフ(イヴァン) コロ(ルネ) ヴァイクル(ベルント) バイエルン国立歌劇場合唱団
ユニバーサル ミュージック クラシック (2011-06-22)
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今週末、新国立劇場で《こうもり》を見る予定です。色いろある世の中ですが、こういう時に違うことをすると、かえってよくありませんのであえて行くことにします。

戦闘的オプティミズムという感じ。それも贅沢かもしれませんが、保つためには必要なことではないか、と。

で、やっぱりクライバーはすごいのですね。クラシックの楽しみ方はいろいろありますが、指揮を愉しむ一つの方法は一拍一拍の音の長さを意識してみるということがあります。微細な長さの違いが絶妙な味わいを出しているということがよくわかります。

しかし、《こうもり》もなにか《アラベラ》と似ているところが。。前座→パーティー→結論、という流れは同じですね。新国立劇場の演出でも、二つは似ているような気がします。

最近は随分と日が長くなりました。ようやく朝起きる時間が明るくなってきました。さすがに暗い時間に起きだすのは辛いものがありましたので、少し楽になったかなあ、などと。

ではおやすみなさい。

2014/2015シーズン,NNTT:新国立劇場,Opera,Richard Wagner

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1月の新国立劇場は《さまよえるオランダ人」でしたね。

飯守泰次郎さんの指揮が素晴らしかったです、緊密というか、Solidという言葉を思いだしながら聴いていました。前回のパルジファルと同じく、微細なテンポコントロールが見事で、ダイナミズムや重厚さを表現していたと思います。

で、なんだか変なことに気づいてしまいました。

《オランダ人》は《アラベラ》と似てますね。オランダ人もマンドリーカも父親が連れてきた花婿で、あまり世間なれしていない男。で、ふたりとも妻となるべき女性の素振りを誤解して、すねてしまうという。《オランダ人》にも《アラベラ》にもそれぞれ、エリック、あるいはマッテオという、ヒロインに片思いを寄せる男が出てきますし。

2010年新国立劇場《アラベラ》のマンドリーカも、今回のオランダ人もどちらも、トーマス・ヨハネス・マイヤーで、私は強い既視感を覚えまして、こんなことを思いついてしまいました。もちろん、トーマス・ヨハネス。マイヤーの歌唱はやはり素晴らしかったのです。この方の《ヴォツェック》は忘れられないですね。

でも、この考え、意外と図星かも。同じことを考えている方がいらっしゃいました。「頭がいい人、悪い人の話し方」を書かれた樋口裕一さんです。

http://yuichi-higuchi.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/post-283f.html

リンク先は、その2010年の《アラベッラ》についての感想を書いておられます。もう4年も前の話ですね。

それにしても、いろいろ興味深いです。もう少し考えてみないと。

なんだか今日も世界の波にのまれるような一日でした。いろいろありますが、良いことばかりではありません。

ではグーテナハトです。

Gustav Mahler

最近、聴いているマゼール。今日はたと気づいた事があります。

私が中学生の頃、一番好きだった音源は、実はマゼールの指揮でした。ウィーンフィルをマゼールが振ったマーラーの交響曲第8番でした。おそらく1986年8月4日の録音で、CDなどでは発売されていないものでした。

多分小学生か中学生かその頃。GOODとか書いてあって、可愛らしいかぎりです。

私の記録では、ソプラノはアンジェラ・マリアー・ブラーチ。アルトはジェシー・ノーマン、クリスタ・ルートヴィヒ。バリトンにはベルント・ヴァイクルが入っています。

これはNHK-FMのエアチェックで、金子建志さんが解説していました。その音声も収録されていて懐かしい限りです。

この演奏が一番大好きで、その後はただただこの曲を聴いていたと思います。その後、ショルティ盤のCDを入手してそちらも聴いていましたが、当時はまだ演奏による違いを巧く説明できなかったのですが、いまから思うと、やはりマゼールのダイナミズムを気に入っていたのだ、と思います。今聞いてもやはり素晴らしいと思えますから。

写真 1 - 2015-01-10

ちなみに、CD化されているのは以下ですが、こちらは1989年の録音のようですね。これは未聴。ちょっと聴いてみないと。

マーラー:交響曲第8番
マーラー:交響曲第8番

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マゼール(ロリン) スウィート(シャロン) コバーン(パメラ) クイヴァー(フローレンス) ウィーン国立歌劇場合唱団 ウィーン少年合唱団 オーストリア放送合唱団
ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル (2005-04-20)
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では、グーテナハトです。

CD紹介,Symphony,Wolfgang Amadeus Mozart

私、ハフナー、つまり、モーツァルトの交響曲第35番。あの冒頭の跳躍がすごくて。。みたいな。

今回はアダム・フィッシャーです。

モーツァルト:交響曲集 第10集(1782&1786)[SACD Hybrid]
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おそらく編制が小さいと思います。実に音の粒が際立ったいい演奏です。そうか、指揮者のやれることというのは、こういうこともあるのですね、とあらためて思いました。オケを選ぶことで、音色を変える、ということもできるわけです。それにしても、爽快な演奏です。重みはありませんが、だからとって、軽いというわけではなく、鋭敏さも持ち合わせています。

(なんだかワイン品評のような文章。。)

アダム・フィッシャーとデンマーク放送室内管弦楽団の演奏です。アダム・フィッシャーは、数年前に《タンホイザー》を上野で聴きました。演奏も素晴らしかったですが、人柄も素晴らしい方だったと記憶しています。話したわけではないですが、序曲後のまばらな拍手に、演奏しながら振り向いて会釈したり、カーテンコールで謙虚な振る舞いを見せたり。。

こういう品性が世の中でどんどん見られなくなっているのは残念なことだなあ、と思います。まあそうしないと生きていけないんですけれど。

ちなみに、デンマーク放送室内管弦楽団は解散の危機のようです。

なんだかなあ。歴史の終わり。まあ、歴史なんてものは幻想だったということ。進歩なんてないのです。さみしいものです。もっとも、進歩というのも、人それぞれ。違う意味では進歩しているのかもしれませんけれど。

とはいえ、この演奏はオアシスのような演奏でした。しばし心あらわれました。

では、グーテナハトです。

CD紹介,Classical,Richard Strauss

Lorin Maazel Great Recordings
Lorin Maazel Great Recordings

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新年二日目。皆様いかがお過ごしですか。

わたくしは、いつもの休日とおなじように淡々と過ごしております。今年は事情により、自宅からあまり離れておりませんので、なおさらです。
今日は家族でこちらの一枚を。

写真 1 - 2015-01-02

昨年なくなったマゼールのボックス。この音源は既に持っていて、5年前に一度紹介してました。

ツァラも大きいぜ、マゼール。

5年前に書いたとおり、本当に「大きな大きな」演奏です。演奏家が違うとここまで曲が変わるのか、ということがよく分かる名演だと私は思っています。絶妙なテンポのずらしがたまらないです。ラトルやペーター・シュナイダー、チェリビダッケもそうですけれど、こういうコクのある演奏は、カラヤンのような筋肉質で冷静な指揮とは違い、聴いていて何度も驚く楽しみというものがあります。「意味」というのは驚きや違和感において生じるもので、均一なところには生じることはありません。

もちろん、違うタイプのカラヤンの演奏もかつてとは違う驚きがあったからこそ、ということはありますので、念のため申し添えます。

マゼールは最近来日していました。聴きに行ければよかたのですが、なかなか時間がとれません。難しいものです。

そういえば、シュトラウスがこの《ツァラトストラはかく語りき》を作曲した理由って、なんだっけ、というのをなにかの演奏会パンフレットで読んだ記憶がありました。ニーチェ思想が流行っていたころのことですので、それに影響されて書いた、ということもあるのでしょうが、私がパンフレットで読んだのは、逆説的にあえて大袈裟な交響詩にしたてて揶揄したのである、というようなものでした。

ちなみにこのボックス、こちらの演奏が収められています。ベートーヴェンのとシベリウスの交響曲全集。シュトラウスの主要オケ曲。チャイコフスキーの交響曲全集、ホルスト《惑星》、レスピーギのローマ三部作など。オケ好きにはたまらないボックスです。前述のとおり、シュトラウスの音源は持っていたんですが、その他の音源があまりに魅力的なので買ってしまったのでした。

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東京地方は雪は降りませんが寒さはなかなか厳しいものがありました。明日も一応西高東低のようで、寒い一日になりそうです。みなさまお身体にお気をつけて三が日をお楽しみください。

それではグーテナハトです。