Japanese Literature

篠田節子さんの「女たちのジハード」を読んでいますが、本当に素晴らしいです。
バブル崩壊後の中堅保険会社に勤めるOLたちが主人公。歳は25歳前後から30歳過ぎの女声たち。自己実現とか恋愛とか、婚活とか、女性達をとりまく事情が、今と変わらぬ普遍性とともに語られていて、興味深かいといったらないかんじ。
まだ、今ほど女性に活躍の機会が少なかった時代というのもあって、彼女たちの真剣さにはハッとするものがあります。
そうした事情を、毒や皮肉をたくさん盛り込んでくる。セクハラ、ドメスティックヴァイオレンス、宗教まがいのセミナー、などなど。
私が言うのも偉そうで気が引けるのですが、なにより、文章や構成に隙がないのです。ここまで疵がない小説を読んだのは久々です。辻邦生ぐらいの構築美と行って良いでしょう。
そういえば、好きな日本人作家は女性が多いなあ。永井路子、岡本かの子、塩野七生などの方々。辻邦生の小説も女性的な繊細さを持ち合わせていますし、なにより主人公が女性であることが多いですし。
最初の読み始めは、なんだか短編小説のオムニバスのような気がしたのですが、wikiを見るとやはり、最初は短編集だったのだそうです。
この小説、1997年にNHKでドラマ化されているのだそうです。
そうか、時代設定は1997年ぐらいですか。主人公達は私たちと同輩か少し上の方々ですね。バブル崩壊し、金融危機前夜の厳しい時代。当時もやっぱり就職難で、今も昔も大変さは変わらないです。
こうも時代が繰り返すと、やはり進歩史観が間違っているのですね。
といいながらも、この小説の主人公達のように進歩を目指して生く予定。いや、そうあるべし。

Opera


新国立劇場の平成22年度収支予算案が発表になっているようです。
“http://www.nntt.jac.go.jp/about/foundation/budget.html":http://www.nntt.jac.go.jp/about/foundation/budget.html

おわび

 今年の3月17日付けの以下の記事で、平成21年度の予算案をご紹介していたのですが、私がソースとしていた資料が誤っていたか、私が誤認していたか、差し替えや訂正がなされたのか、よくわかりませんが、最新の資料を見る限り、実際とは全く違うことがわかりました。お詫びして訂正いたします。
“https://museum.projectmnh.com/2010/03/17032228.php “:https://museum.projectmnh.com/2010/03/17032228.php
先日もソースが不可解な動きをしました。私が間違えたのかもしれませんが、かなり気をつけて書いたつもりですので、何とも言えません。

収入について

平成20年度から22年度の3年分の収入の部を以下の通りあげておきます。

先日も書いた通り、委託費というのが、おそらくは国庫が元となる金額です。5億円ほど削減されています。

これは、さすがに仕方がないでしょう。こういうご時世ですので。といって、流してしまってもならないですし、事業仕分けでのコメントによれば、今後「圧倒的縮減」が予想されますので、油断してはならないのですけれど。

予算削減のポイント

3月17日の記事では、平成20年度と平成21年度を比べて、平成21年度は9億円ほどの受託収入が減ったと書きましたが、最新のソースを見てみると、実際には5千万円ほど削られていただけでした。
ところが、平成22年度となると、5億円ほど削られていることがわかります。このしわ寄せはどこに来たのか、といいますと、
# 施設維持管理費支出が4億円強の削減
# 公演事業費支出が1億9千万円の削減
# 管理費給料手当支出が6千万円強の削減
となっています。
気になるのは今年から「協賛収入」が一般会計から特別会計に移ってきました。これは何を意味するのか。謎。
会計知識、全くないですなあ、私。一応簿記の資格は取りましたが、10年以上前のことなので。

公演事業費支出

以下の通りですが、やはり公演費本体の削減は避けられません。

人件費

さすがに人件費が削られているのですが、これがちょっと興味深いのです。

「事業費」にぶら下がっている職員給与は5千万円ほど増えているのですが、「管理費」にぶら下がっている職員給与のほうは6千万円強削減されています。これは、管理職の方々が相当身を削っていると見て正しいでしょうか。もちろん、従前の水準が一般的に見てどうなのか、というのはわかりませんので、なんともコメントするのが難しいところでもありましょう。こういうご時世ですので。役員給与の下げ幅についてもよくわかりませんので、こちらもノーコメント。

まとめ

私は、平成21年度で9億円もすでに削減されていると誤解していましたが、実際には、公演事業費支出だけで言うと、3億4千万円も増やされていたのでした。それに対して、平成22年度は逆に1億9千万円削減されています。
これ、意外でして、平成20年度よりも公演事業費支出は高いという計算になります。平成20年度は「軍人たち」をやっていますので、相当お金がかかったはずなんですが。ですので、「自主公演ができなくなるのでは?」という懸念はまだなさそうです。
一番減らされている施設維持管理費とは、いったい何なのでしょうか? 施設のメンテナンスをリストラで4億円捻出とは具体的にはどういったところなのか、よくわからないです。たとえば、前庭の水を抜いてしまう、とかでしょうか。あの水を張った美しい前庭は、相当維持費がかかるはず。放っておくと水苔が出てきますので、定期的に水を抜いてきちんと洗わないといけないはず。相当大変な作業ですから。。
会計に明るい人がごらんになったら、もっといろいろつかめるのかもしれませんが、私の考え得る限るのと頃は今のところこんな感じです。
こういう世知辛い世の中ではありますが、人間を人間たらしめている芸術活動の基盤である新国立劇場の、一層の発展を願いつつ、応援しつつ、という感じです。頑張ってください!

iPad


iPadが到着して一週間がたちました。感想などを少々。
全体的には大変満足しています。ただ、もう少しのところもあるので、ちょっとぼやいてみると。
* かな漢字変換についてですが、ATOKだと自動的に修正してくれる、「ん」や小さい「っ」の連続を補正してくれない。
* 単語登録が難しい。できるんだけど、連絡先に登録する、というトリッキーな方法らしい。
* これはぼくの練習不足ですが、まだタッチパネル入力に慣れていない。でも、ここが踏ん張りどころ。
* カーソルの動かし方にもっと慣れないと。シングルパッドして数秒経つとマグ二ファイア、つまり虫眼鏡が現れてカーソルの位置を調整するのですが、まだぎこちないです。
* やっぱりWiFiなどでネットにに繋いでないとその真価を発揮出来ない気がします。あれ、なんだっけ? みたいな感じで、Wikipediaを無性にみたくなるとき、かなり不自由感があります。こちらは少々検討中。
* シングルタスクは痛い。マルチタスク渇望。まあ、アプリの切り替えは素早くて、そんなにストレスないんだけど、Radikoや音楽聴きながらウェブサーフィン、っつうのをiPadでもやってみたい。
* サファリにアドオンとか追加できるといいのですが。。ちょっと単機能。
とはいえ、繰り返しますが、良いですよ、iPad。お勧めです。これは、まさにエポックメイキングな製品だと思いました。ここまで立ち上がりが早くて、ウェブに接続できるというのはあまりに画期的すぎます。いま、パラダイムシフトの最前線にいるんだなあ、と、ちょっと大げさですが、それぐらい凄いなあ、と思っています。
ところで、10年以上も昔、まだ、Windows3.1の時代に、未来のPCを想像していたことがありました。PCの進化形は、机全面がPCの画面になっているだろう、と思っていましたが、どうやら机を飛び越えて機動性のあるタブレット型になったのですね。
それから、高校時代にブラインドタッチを習得したとき、次のあたらしい入力方式についていけだろうか、と不安に思ったものです。僕はそれは携帯のテンキー入力だったと思っていましたが、それも通り過ぎていまはタッチパネル入力なのだな、と実感しています。

Japanese Literature

今更ですが、「沈まぬ太陽 (1)アフリカ編」を読みました。
私は、基本的にはドラマはあまり見ません。最近は映画も見なくなってしまった。なので、頼りとなるプロットのネタの仕入れもとは、既存の小説か、知り合いが教えてくださることぐらいでしょうかね。
この本は、1960年代から1970年代のJALがモデルになっていて、今読むと、まあ右肩上がりの時代なので何がしかの未来への希望はあったとはいえ、今と比べて、もっともっと劣悪な労働環境だったのだなあ、という感じ。昔も今も大変です。
書かれていることは、JALにとって、相当厳しい批判的な内容でしたので、険悪な空気となったようで、当時連載していた新潮社の雑誌をJALは積み込まなかったそうです。
しかし、まあ、ここに書かれていることがおおむね真実だとしたら、まあ、今のていたらくぶりはさもありなむ、という感じ。まさに事業仕分けで滅多斬りにすべき内容。
しかし、描かれていることはアクチュアルなもの。普遍性をきちんと持っている。組織と個人の問題、自己保身に走る情けない男たち。信念を曲げることなく振る舞おうとすれば、無邪気な奴だと陰口をたたかれ、批判を浴びるという蟻地獄。
もちろん小説ですから、すべて本当なわけはないんですけれど、明らかに取材しないと分からないことがたくさん含まれていて、リアリティはかなり高いです。
カラチの描写は実体験か取材をしなければ書くことができない内容でした。昔のパキスタンって、あんなんだったんですねえ。それから、飛行機の描写が少いのが残念ですが、一カ所だけ出てきました。ILSを掴んで着陸しようとしたDC-8がゴー・アラウンドする、つまり着陸復行するシーンでした。あれも取材が無いとできないはず。
とりあえずは二巻目以降でどういう動きになるのかが楽しみです。御巣鷹編、というのもあって、JALにしてみれば目の上のたんこぶの様な小説ですねえ。
小説の機能として、バルザックやらの時代から、現実認識や伝聞の媒体である、ということが言えましょうが、この小説は、そうした伝聞告発的な要素もありますね。もちろんそれだけではありませんが。
ただ言えることは、このような小説を新人作家が書いたとしても、評価されることはないだろう、ということ。山崎豊子さんのビジネスモデルなんですから、二匹目のドジョウはなんとやら、だとおもいます。
もちろん最後まで読んで、主人公がどのような運命をたどるのか、興味はつきません。次の巻がが楽しみです。

Jazz

うー、苦しい。一日更新サボりました。この埋め合わせは週末には必ず。
で、苦しいときは、やっぱり僕の場合はブレッカーやハービーなんですよねえ。
とりあえず、1992年といいますから18年前に再結成当時の初アルバム「Retrun of the Brecker Brothers」を、昼休みに最大音響で聞いています。もちろんBOSEのクワイエットコンフォート2にて。
このクワイエットコンフォートのケーブル、よく断線するんですよねえ。で、これが交換部品になっているのがすばらしいところ。
ここを一体型にしていると某社製品の場合、本体まで修理対象になってしまい「お客さん、そらなら新しい買ったほうが得ですぜ」なんて、店員に言われるなんていう状況を容易に想像することができます。
それも8年ほど前の話。
しかし、ここまでガチャガチャ騒がしく格好良く激しく強靭な音楽を聴かされると、なぜか心が落ち着きます。まあ、今の私の心の中身を表しているのでしょう。
そうそう、この前「スコラ」で、チャーリー・パーカー以上のアルト・サックス奏者はいない、と言っていましたが、テナー・サックスだとやっぱりマイケル・ブレッカーになってしまうんだろうか。たしかに、ビル・エヴァンス(テナー奏者のほう)がランディー・ブレッカーと吹いているサムスカンクファンクなんて、聞くのに大変苦労しますしね。
まあ、タイプは似ているけれど、ボブ・バーグも巧かったなあ。テクニックはかなり肉薄しているし、作る音楽も大好きなんですけれど、ブレッカーのようななにかしらがない気がする。ボブ・バーグは美しすぎるのかもしれない。
で、今日は相変わらず、Return of the Brecker Brothersでストレス解消。こういう音楽の聴き方は許されるのだろうか。広義の音楽療法です。

iPad,Opera,Richard Wagner

シュナイダー師の「ローエングリン」

今日聴いているのは、ペーター・シュナイダー氏が振っておられるローエングリンです。これは、DVDで発売されているものをAMAZON.UKから個人輸入したものです。海外でDVDを買うときは、言うまでもありませんがリージョンコードにご注意を。
まだ、演奏全体を云々できるほど聴いていませんが、アンサンブルが美しく、速度の微妙なコントロールが絶妙で素晴らしい。シュナイダー師、やっぱり凄いなあ。もっとCDでないかな、と思うのですが、
あ、そういえば、昨年のバイロイトでシュナイダー師が振った「トリスタンとイゾルデ」ですが、画像をiPadに入れました。あの感動を再び、という感じ。こちらも楽しみ。
最近シュトラウスばかり聴いていたのですが、ワーグナーに戻ってくると、なんだか心現れる気がします。シュトラウスはもちろん大好きですが、ワーグナーのほうが愚直なドイツ的精神性が強いように思います。心に直接揺さぶりがかけられる感じ。ワーグナーは凄いのですね。

iPadつれづれ

さすがにここのところiPadが気になります。
今日は所用で都心に出たので、UQ-WImaxの一日プランを試してみようと思ったのですが、上手くいかない。
私の認識では、無線LANに接続し、UQ-WImaxの一日600円プランの申込み画面に遷移したところで申し込み、接続確立となる想定でしたが、無線LANには接続できますが、申込画面に遷移しません。
ポイントは無線LANルータのWM3300Rの挙動でした。WiMAXと書かれたアンテナ型のLEDが赤く光っているのです。どうやらこれはWiMAXの電波は受信しているけれどインターネット接続が出来ていないことを指しているらしい。で、このアンテナ型のLEDが緑になるととりあえずはインターネットに接続出来ていることになる模様なのです。
1) まずは、ルーターのWM3300Rの電源をいれて、以下の写真のようになるのを待ちます。

2) 続いてルータの画面 http;//web.setup ないしは、192.268.0.1にアクセスします。すると、管理者パスワードが出てきますので、入力します。

3) すると、こちらの画面となります。ウェブウィザードの画面ですね。すでに契約はしていると思いますが、右下の
「今すぐ契約」ボタンを押します。

4) すると、ガチャガチャ、動き出すんですが、

私の環境だと以下の「サインアップ中」のままで、無限ループ状態になりいつまで待っても何も起きません。

5) このとき、ルータのWiMAXと書かれたアンテナ型のLEDが緑色になっていることに注目。この時点でウェブにつながっているのです。

6) すかさず、サファリ(ブラウザ)右上の検索ボックスに適当に検索値を入れて、検索してみます。あるいは、ブックマークでヤフーやグーグルなど一般的なウェブサイトに飛んでみるのも良いでしょう。すると、UQ-WiMaxのログイン画面に遷移します。やった!

7)あとは、ユーザー名を入れてログイン

8) 以下の画面に到達するので、利用時間の購入ボタンへと進みます。

9) ゴールです。ここで、利用時間を設定し、「次へ」ボタンを押せば、ネットが開通するはずです。

私の場合、ここでいったん止めました。この先、ちゃんと利用時間が購入できてネットにつなげるはずです。おそらく今週の週末に同じことを試しますので、またレポートします。

Book,Miscellaneous

5月の読書記録

ちょっと実用本が多かったが、一応9冊達成というところ。でもちょっと違和感あり。もっとちゃんとした本を読まないとね。。。まあ、仕事で使うんで仕方ないのですけれど。

期間 : 2010年05月
読了数 : 9 冊
沈まぬ太陽(1)アフリカ篇(上)
山崎 豊子 / 新潮社 (2001-11)
全部フリーソフトで作る自宅サーバー for Windows
林 和孝 / ラトルズ (2001-04)
オペラの運命―十九世紀を魅了した「一夜の夢」 (中公新書)
岡田 暁生 / 中央公論新社 (2001-04)
AjaxとPHPによる MovableType高速&最強システム構築法
藤本 壱 / 技術評論社 (2007-07-03)
PHP統合開発環境PDT2入門
岸本 忠士 / 秀和システム (2009-04)
本・雑誌
辻 邦生 / 岩波書店 (1988-07)
西洋音楽史―「クラシック」の黄昏 (中公新書)
岡田 暁生 / 中央公論新社 (2005-10)
コイカツ―恋活
坂井 希久子 / 文藝春秋 (2009-07)
Windows XPでつくる一歩先行く自宅サーバ―フリーソフトで自宅サーバをもっとおもしろく!
犬塚 信也 , 御影 伸哉 / 毎日コミュニケーションズ (2003-08)

5月は、岡田暁生さんの著作2冊(そのうち1冊は再読)を読んだのが大きかった。これ、ちゃんと記事にしたいのだが、少しお待ちを。お勧めです。あともう一冊あるんだが、こちらも興味深そう。
山崎豊子さんの「沈まぬ太陽」、まだ全五巻の一巻を読んだだけなんですが、なんだか先がみえている感じかなあ。期待があまりに大きすぎたか。でも主人公は、あの悲惨な境遇からどうやって立ち直るんだろう。実生活にも関係あるので、そういう観点ではとても興味がある。たぶん全部読むと思います。

6月の展望

とある事情で、六月は篠田節子さんの本を読んでいます。それがまずは加わりそう。
それから一向に進まない漱石も読まないとなあ。青空文庫をiPadで簡単に読めるようになったので達成出来るといいのですが。
ああ、 それから辻先生の本を読まないと。初期の短篇集のアンニュイな感じに浸ってみたい。「城」、「見知らぬ町」、「ある生涯」などなど。まずは中公文庫の初期短編集を鞄に入れよう!
音楽の方は相変わらず新国にいきます。今月は「カルメン」と、世界初演の池辺晋一郎の「鹿鳴館」にいく予定。二回も行くなんて贅沢過ぎる。ごめんなさい。
全然進まないEWIの練習もしないと。っつうか、来月TOEICもあるしね。
野望や「やるべきこと」はたんまりある感じ。老け込んでいる暇はない。

iPadつれづれ

やっとiPadの入力に慣れてきました。基本的には携帯のように変換予想方式で、キータッチに気をつければかなりうち易くなってきました。外付けキーボードも検討したのですが今のところ必要ないと思っています。
ただまだ慣れないのがカーソルの挙動かな。文章上に指をしばらく置くと、拡大鏡が現れて、カーソル位置を調整できるのですが、これが少し癖のある感じなのですよ。いろいろ研究が必要。ATOKとまではいかなくても、もう少し上手く入力出来るようになりたいなあ。
また発見。横置きにするとキーボードが大きくなるんですね。そうするとブラインドタッチと同じ感じで打てる。これはいい!
こちらが縦置き。

こちらが横書き。

iPadが来て以来、旧来のキーボード付きPCがレガシーシステム(過去の遺産、古いシステムのことを、僕らの業界ではこう言います)に見えてきて困っています。
私は今エポックメイキングな大事な時間を過ごしているんだろうなあ、
すごいなあiPad。

Jazz

私が敬愛するジャズサクソフォニストであるマイケル・ブレッカーの義理の姉君であった時期もあるイリアーヌ・イリアスのSo far So Closeというアルバムの音源を入手しました。

イリアーヌ・イリアスとは

イリアーヌは昨今では歌手として知られるようになりましたが、かつてはピアニストとしてあのSTEPSに在籍していたこともあるのです。その天才ぶりは幼い頃から発揮されていて、ジョビンをして「私のイパネマがこんな曲だったとは知らなかった」とまで言わしめた天才少女だったのです。
そして、才色兼備を地で行ったような美貌に、若いミュージシャン達が群がったであろうことは容易に想像できてしまうのです。そして結婚した相手はランディー・ブレッカー、つまりマイケルの兄君だったのです。もちろん離婚してしまうわけですが。
今はベースのマーク・ジョンソンと結婚しているらしい。だから、彼女のアルバムのベーシストはマーク・ジョンソンなのか。今さら知った無知蒙昧に恥じ入るところ。
さて、ランディとイリアーヌの間には、アマンダという女の子が生まれました。彼女はいま両親から受け継いだ様々なアドバンテージを活かして歌手になっています。
アマンダについては、こちらも。
“https://museum.projectmnh.com/2009/06/24195833.php":https://museum.projectmnh.com/2009/06/24195833.php

Stepsとの関係について

さて、STEPSといえば、80年台初頭にマイク・マイニエリが結成したバンドで、当初は4ビートなどもやっていたのですが、徐々に電化を進み、マイケル・ブレッカーがEWIと呼ばれるウィンドシンセを使い、マイク・スターンがディストーションをかけたギターソロを披露するようになったのでした。バンド名もSTEPSからSTEPS AHEADと改名しました。
その改名前後に発表されたアルバムのMAGNETIC(1986)は、Live in Tokyoという1986年のライヴ盤重要な音源につながっていきます。
“https://museum.projectmnh.com/2007/08/19175353.php":https://museum.projectmnh.com/2007/08/19175353.php

Sor Far So Close

私の聴いたSo Far So Closeは1988年の作品。雰囲気がMAGNETICとそっくりなのに驚きました。これは、裏Steps Aheadと呼んでも良いのではないかと。
もちろんマイケル・ブレッカーもランディ・ブレッカーも参加しております。
さらにポイントなのは、シンセサイザーのプログラミングにジム・ベアードが参加していると言うこと。ジム・ベアードは、マイケル・ブレッカーのNow you see itというアルバムに参加して、電脳才能のフルに発揮している人物。ランディ・ブレッカーがWDRのビッグバンドと共演している以下のアルバムでは、キーボーディスとしても大活躍しています。私のレコメンドなミュージシャンです。WDRのジャズバンドとのエントリは以下の通り。
“https://museum.projectmnh.com/2007/08/11211441.php":https://museum.projectmnh.com/2007/08/11211441.php
さて、イリアーヌですが、そのアンニュイな感じの歌声で、私の癒しの音楽となっているDreamersというアルバム以降、自分はピアニストだけなのではなく、ヴォーカルとしてもやっていこうと決意したらしいのですが、ピアニストとしても素晴らしいですが、やっぱりヴォーカルが良いですなあ。
でも、ピアノもいいっすよ。コードの当て方とか結構格好良いのですよ。テンションを含んだ私好み。そうそう、ジャコ・パストリアスにささげられたStraight Acrossというナンバーではシンセベースまで弾いています。
この曲、結構アグレッシブ。で、ジャコに捧げられていると言うこともあって、音の雰囲気はWeather Reportそっくり。ということは、Weatherの影響下にあるYellow Jacketsにもそっくり。シンセベースの雰囲気なんてYellow JacketsのJimmy Haslipみたい。

イリアーヌのディスコグラフィ

Wikiによると、こんなにたくさんのディスコグラフィが。ああ、全然聴けておりません。収集活動を始めないと。◎がついているのが把握している音源。ファーストアルバムはお嬢様のAmandaの名前なんですね。Sor Far So Closeもお嬢様に捧げられたアルバム。本当に子煩悩なのですね。
* Amanda(1985)
* Illusions(1986)
* Cross Currents(1987)
* So Far So Close(1988) ◎★
* Eliane Elias Plays Jobim(邦題:風はジョビンのように)(1989)
* A Long Story(1991)
* Fantasia(1992)◎
* Paulistana(1993)
* Solos & Duets(1994)(with Herbie Hancock)
* The Three Americas(1997)
* Impulsive!(1997)
* Sings Jobim(邦題:海風とジョビンの午後)(1998)◎
* Everything I Love(2000)
* Kissed by Nature(2002)
* Giants of Jazz(2004)
* Dreamer(2004) ◎
* Around the City(2006)◎
* Something for You(2007)
* Bossa Nova Stories(邦題:私のボサ・ノヴァ)(2008)
* Eliane Elias Plays Live(邦題:デサフィナード)(2009)

iPadのつぶやき

iPad、素晴らしいですよ。
今日は、UQ Wimaxと一日600円の契約をして、自宅から会社の受信状況をチェックしました。電波は弱いものの8割程度の行程でWimaxが受信できることがわかりました。田舎の丘の上に立つうちの会社でも一応受信可能でした。ところどころでやっぱり受信できないところもありましたが。
それから、やっぱりiPadで文章を書くのはまだちと骨が折れる。このブログ記事の前半部分はiPadで書いてみたのですが、さすがにキーボードのように早く書くことは能わず。ああ、Bluetoothのキーボード買ってみようかな。
ちなみに、Bluetoothって、デンマークの王様の名前なんですよ。
“http://ja.wikipedia.org/wiki/Bluetooth#.E5.90.8D.E7.A7.B0.E3.81.AE.E7.94.B1.E6.9D.A5":http://ja.wikipedia.org/wiki/Bluetooth#.E5.90.8D.E7.A7.B0.E3.81.AE.E7.94.B1.E6.9D.A5

iPad,Opera

iPadが来て二日目。大分なれてきました。

良いところ

画面が美しいアプリがたくさんです。たとえば、こちら。

天気予報のアプリなのですが、あまりの美しさと多機能に度肝を抜かれました。
それから、青空文庫からシームレスに本をダウンロードできるのは凄い。iBookが日本で根付くかどうかはわからないのですが、青空文庫はもうかなり歴史ありますからね。昔、Palmに落として、芥川を読んだり、岡本かの子を読んだりしていましたので、これは本当にありがたい。

本題

さて、本題。
カルロス・クライバーが、エレーナ・オブラスツォワ、プラシド・ドミンゴと組んで演奏したもので、ウィーン国立歌劇場で1978年2月に収録されたライヴ盤。
2006年にゼンパーオーパーで「カルメン」を観るための予習用に買ったものですが、クライバーとドミンゴとくれば、悪い演奏なわけがない。
特に激烈なのが20トラック目「セビリアの城壁近く」。スペイン的フレーズなんですが、このフレーズが凄くて、導入はマイナースケールで上昇するんですが、下降するときにはメジャースケールに変わっている。カルメンの表裏を表しているように思えます。美しきものの裏に隠れる狡猾さ。途中でオケが、激しく慟哭するんですが、あの場面のクライバーのドライヴ感は凄まじいものがあります。
1978年と言えば、ドミンゴは37歳ですか。一番脂がのっていそうな年頃です。クライバーは1930年生まれですので、48歳。こちらも一番元気な頃じゃないでしょうか。
しかし、カルメン役のオブラスツォワは、カルメンのために生まれてきたのではないか、と思うぐらい役にマッチしています。声の質は太く柔らかいメゾで、パワーもあるし、妖しさもある。私は、カラヤン盤抜粋でアグネス・バルツァのカルメンも聴きましたが、オブラスツォワのほうが、良い意味でカルメン的な野卑さを持っていると思います。
というわけで、お勧めしたところですが、この盤はもう市場の表舞台から消え去っていますね。AMAZONではMPでしか売っていないみたい。やっぱりコンテンツ産業は大変なんだろうな。DVDは高いですが、重要なものは落としてはならんのですね。
追記:ああ、こういう媒体で安く出ているのか……。なんと990円! 教えてくださったgarjyuさんに感謝。
→  "http://www.fujisan.co.jp/Product/1281683685/b/323315″:http://www.fujisan.co.jp/Product/1281683685/b/323315/ap-shushi
iPadが来て、時代が大きく変わったことを思い知ったことと相まって、ちょっといろいろ急いで考えないと、と思いました。頑張ろう!