Miscellaneous,Richard Strauss

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休日。随分早くに目が覚めたのですが、なにかいい感じの夢で目が覚めて、気分が良かったです。今日、近所の市民センターにいたところ、広場に生い茂る木々から蝉の声が聞こえました。まだ梅雨あけもしておらず、6月もまだすぎませんが、ひたひたと夏が迫っています。ことしも猛暑だそうです。どうやって過ごそうか、という感じです。

そんな初夏に聴いたのはこちら。すこし季節にはあいませんが、ジェシー・ノーマンの歌うリヒャルト・シュトラウスの歌曲集です。

Richard Strauss: Four Last Songs; 6 Orchestral Songs
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昨日聴いた「はじめてのジェシー・ノーマン」というプレイリストには入っていた「Morgen」という歌曲が入ったアルバムで、1983年にクルト・マズアがライプツィッヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団と一緒に録音したもののようです。「四つの最後の歌」がメインディッシュですね。33年前のアルバム。あの頃はまだ東ドイツがあってホーネッカーがいました。

メゾ・ソプラノような深みで歌われると、「四つの最後の歌」なども、重心がひくくなり、随分と落ち着いた味わいになります。たしかに、人生の晩秋の諦観とした静かな気分を想像させるに事欠くことはありません。この演奏を聞きながら、太陽の光を浴びながら死に至る場面などを想像してしまいます。この曲を聴いて急に後ろに引っ張られるように頭から血流が失われていく感覚。それはまるでヴィスコンティの「ヴェニスに死す」から、毒気のようなものをぬいた、常識的で大人な場面。マーラーの「アダージェット」よりも安らぎにみちている気もします。そのように人生を閉じれるように生きれるといいのですが。もちろん自分の努力だけでそれはなし得るものではないですね。世界や国、社会、あるいは自然や災害がどうなるかで簡単にどうとでもなるものです。昨日の常識は明日の非常識。そういう世界で、安らぎを得るのは、ただひたすら、偶然的なものに対する願いと祈りと感謝でしかないのかも、と思います。人生謙虚に全力で、というところですかね。

ではみなさま、おやすみなさい。グーテナハトです。

Miscellaneous

どうしても学校教育で教わる歴史というものは、人類が少しずつ進歩して、現在があって、そしてなお進歩を続けていく、という考え方になっています。私が小学校の頃、大人になると宇宙旅行が普通になっていて、宇宙ステーションや月面基地があって、という想像をしていました。これは、おそらくは今の40代や50代の方ならそうなのだと思います。

実際には、そううまくいきませんし、あるいは想像しない便利な時代になったとも言えます。ドラえもんのひみつ道具も幾つかは実現しています。

とはいえ、やはりなんだかおかしな方向に進んでいる向きもあって、今回のイギリスのEU離脱もそうしたことなのかも、と思います。もちろん私が「おかしな」と言っていること自体、学校教育で教わった人類の進歩とは合わない方向、という意味です。学校教育では、漠然と、戦争を乗り越えた世界が、共に協力して発展していくという、いささか素朴な世界観のようなものがあった気がしますから。

今回のイギリスのEU離脱の件もそうですし、アメリカ大統領選挙もそうかもしれませんが、エリートが政治を担うという考え方に対するある種の批判のようなものにも感じました。日経新聞で識者の方がコメントを寄せていて、同感でした。少し引用します。

こうした急進政党が欧州で勢力を伸ばしている背景には、大衆のエリート層、エスタブリッシュメント(支配階級)に対する反発がある。有権者は既存の政党が自らの声を代弁していないと感じている。それゆえ、極右や極左政党はエリート層を非難する同じ方向に近づきつつある。

仏国際関係研究所特別顧問 ドミニク・モイジ氏

離脱派と残留派の対立は、米大統領選で候補指名を確実にした民主党のヒラリー・クリントン、共和党のドナルド・トランプ両氏の支持者間の分断に似ており、多くの先進国に共通して見られる。近代的なコスモポリタン(世界主義)の社会が心地よいと考える人々と、伝統的な地域の価値観が脅かされていると感じる人々との間の深い溝だ。

英王立国際問題研究所 主任研究員 トーマス・レインズ氏

おそらくは、近代というものは、18世紀からの啓蒙の時代があって、世界市民の理想(あくまで欧州視点のものとも言えますが)、があり、フランス革命が成立し、反動や社会主義革命、二つの大戦と冷戦を乗り越えここにたどり着いた、ということなのでしょうか。ポストモダンという言葉がありましたが、アンチモダン、という言葉をふと思いついてしまいました(ニーチェのように)。

啓蒙というのはエリートが引っ張っていく世界で、エリートはノブレス・オブリージュの元に引っ張っているはずだったのが、実はそうではなかったということが、インターネットで市民が情報に直接アクセスできるようになったり、スノーデンの暴露やパナマ文書の流出などで疑われるようになってしまった、ということなのでしょう。もちろん、それは本当かどうかはわかりませんが、可能性だけでも流布してしまうと、ハレーションは大きくなります。。啓蒙がトリガーとなった近代自体が疑われてしまいます。

先日読んだ「ワーク・シフト」という本にも、政府や大企業が信頼を失い続ける未来が描かれていました。

ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉
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エリートもそうですし、我々市民もそうですが、理性的な判断ができるようになるといいのですが、理性自体が近代の所産ですので、近代が終わるようにも見える昨今においては、そういう「XXできるようになるといい」という言い方すらできないのかもしれないです。

今日はこちら。いやあ、ジェシー・ノーマンのイゾルデは、船の上から真っ青な海の底を覗き込む時のように、ぐいと引き込まれてしまう恐ろしさがありました。そういえば、ワーグナーもやはり近代の担い手だった時代もありました。

Wagner: Tannhäuser Overture; Siegfried-Idyll; Tristan und Isolde
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Miscellaneous,Richard Strauss

うーん、書いた文章が全部消えてしまった。

気を取り直して。思い出しながら書きます。

昨日はシュトラウス。シュトラウスの大人の知恵が好きです。《エレクトラ》で前衛をあきらめ、《ばらの騎士》でモーツァルトに回帰する大人の知恵。

作品の登場人物も大人ばかり。若い恋人をあきらめる《ばらの騎士》元帥夫人、二人の求婚者のどちらを選ぶか結論を出さない《カプリッチョ》の伯爵夫人マドレーヌ。

音楽的にも、美しいながらも不協和音や変拍子に溢れています。綺麗なんだけど、肩透かしのようにその旋律はどこかに過ぎ去ってしまったり。

結局世の中を変えるのはそういう大人の知恵なんだろうなあ、と。

辻邦生のテーマは「性急な改革の失敗」です。結局、若さで押し切ることは、行き詰まるだけです。時間がかかっても、じわりと改革をする知恵が勝つのかもしれません。

きっと今も、目立たないようにひっそりと、あるいはまったく別物に姿を変えてわからないように何かの改革が動いているのかも、と思います。その改革がよいことでありますように、と願います。

ですので、世の中は直球勝負では勝てません。変化球や、ときに四球を与えながら買っていくものなのかも。がゆえに、身の回りでもいろいろなことが起きますね。

はしごをはずされる感覚、というのもその一つですまあ、慣れていますので、普通に対処できてはいますが、少しばかりの寂しさは避けようはないですね。

先日読んだ本に、本来人間は種の保存のために助け合うことに快感を覚える本能を持つ、といったようなことが書いてありましたが、その逆もあるわけで、そうだとすると、それに寂しさを覚えるのも理性外の本能のようなもんなのでしょうか。

で、今日は、「ダナエの愛」を。絢爛で巨大な音楽。昨年、二期会の公演に出かけましたが、本当に楽しく充実したしたものでした。オペラは素晴らしいものですが、気づくとこの一年見に行けていないです。また行ける日が来るといいなあ、と思います。

Richard Strauss: Die Liebe der Danae
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ではおやすみなさい。グーテナハトです。

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今日の夕方、久々に銀座へ。ただし、滞在時間は10分ぐらい。写真撮る間も無く。

絢爛な街ですが、落ち着きのようなものと、華やかさのようなものが織り込まれた街です。あまりに多くの思念が過去から今へと渦巻いていて、その情報量はテラレベルではたらないぐらいでしょう。歴史と空間のなかに何千万人の人がここを行き交ったんでしょうね。混沌と多様に満ちている場所です。

以前、銀座を歩いていたら、年配の女性が300万円のネックレスを買っているシーンを見かけました。今日も黒塗りのドイツ車の中で白い手袋をはめた黒いスーツの運転手が誰かを待つ姿。それからApple Storeでは、屈託なく店員に話しかけ女性。まるで、世界を我が物にしたかのような。

これもやはり現実ですが、私が普段いる現実とは少し違います。もっとも、現実とは相対的なもので、OSのように交換可能で、人それぞれの持ちものです。

今日はこちらから、「弦楽器と打楽器とチェレスタのための音楽」を。「はじめてのサー・ゲオルグ・ショルティ」というAppleMusicのプレイリストに第三楽章が入っていました。CDも持っています。

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これも全く現実ばなれしたような不思議な世界。気が狂いそう。第三楽章が日本的な旋律に聞こえるのは気のせいでしょうか。

もっとも、気が狂うというのも相対的な概念です。狂気もOSのようです。狂気にあっては狂気が現実になります。

それではみなさま、おやすみなさい。グーテナハトです。

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それにしても、ねばるということは大事なことです。

最近やっと仕事場に取得を求められていた試験に受かりました。状況も体調も万全ではないですが、そのなかであきらめずに粘った結果、たまたま受かったという感覚です。受かるというのは、そういう偶然の感覚があるものなのかもとも思いますが。

だからと言って、これからにつながるものではなく、これまでやってきたことがある程度正しかったということの証左である、ぐらいなことなのかもなあ、と思いました。卒業試験みたいな感覚で、はて、次は何をやろうかな、という感じです。生き方にとってのひとつの節目かも。

というわけで、近所の神社にお礼参り。このあたりは、素直で単純な感覚。地震や火山の国なので仕方がありません。なんでも偶然です。

それではみなさまおやすみなさい。グーテナハトです。

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Kindleの是非はさておき、Kindleで読める辻邦生著作をまとめました。数えてみると10冊になっています。また、辻佐保子さんの著作もKindleで読めますので一覧表に入れておきました。

「春の戴冠」などは、紙の本は分厚く重く持ち運ぶには大変ですので、Kindleで読めるのはありがたいですね。

あとは、「ある生涯の7つの場所」が2冊しか発刊されていないのが気になっており、是非全冊Kindleででないものか、と思っているところです。

私も紙の本を持っているものの、外出中にふと読みたいときなどに備えて何冊か買ってしまいました。

上部のメニューからアクセスするか、以下のリンクからどうぞ。

Kindleで今読む辻邦生

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今日の東京地方は快晴でした。過ごしやすい一日だったようで、奇跡のような素晴らしい天気でした。だとしても、うまくいかないこともあるのですが、それが世の中ですね。

そもそも世の中は正しくないのですから、それを含めて、正しいと言うことが、生きるということなのだと思っています。この否定しながら是認するという相反性が世の中のミソなんじゃないかと思います。

ま、そんな時にこちらを聞きましょう。

モーツァルト:交響曲第32番&第35番「ハフナー」&第36番「リンツ」
ガーディナー(ジョン・エリオット)
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モーツァルトの交響曲の中で一番好きなのは35番ハフナーです。冒頭の一オクターブの跳躍とか、元の早いパッセージとか、快活な感じです。本当に爽やかな感じです。今日のような素晴らしい日にぴったり。

明日も平穏に過ごせることを願って、おやすみなさい。

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Photo最近、日本的なものへの関心が増えています。

まあ、良いのか悪いのかはわかりませんが、日本文化にどっぷりとはまって生きているわけで、どんなに足掻こうとも、最終的には神社にお参りをしてしまうわけですから。

いや、日本的というよりも、近所の郷土史などを、調べたり、先日も書いた司馬遼太郎「この国のかたち」を読んだり、ということによるのかもしれません。

なぜか。最近、家族とサイクリングということで、近所をいろいろ走り回っているのですが、古い日本の風情があちらこちらに残っていて、なんだか新鮮な気分だったりします。初夏の白い日差しに灼かれたアスファルトとか、草原に吹きすさぶ甘い風とか、咲き誇るシロツメクサなどを見ると、なにか幸福な気分になるわけです。理由はわからないのですが、おそらくは、原体験のようなものを幼い頃にしていて、それを追体験しているからなのではないかと思います。そしてなお、これもまたおそらくはなのですが、幼い頃ほど幸福な時はない、ということも言えるわけで、原体験の追想は、あるいは人を幸福にするものではないか、ということも言えるのだと思います。だから、幼い子には、ぜひたくさんんのよい経験をさせてあげて、齢を重ねたあとでも、こうやって追体験をすることで幸福を感じてもらえるようにするのが大人の義務なのではないか、とも思います。

先日から、エルガーを聞き続け、その後ヴォーン=ウィリアムズへと駒を進めました。でも、やはり音楽は実演も必要なんだなあ、ということを常々思っています。幼い頃の夢は、NHK交響楽団の定期会員になることでしたが、その夢はまだかないません(かわりに新国立劇場の年間券を買っています)。

こちらはシノポリのエルガー。1番も2番もいい曲です。2番は別の演奏(ディビスだったか。。)を聴いたことがありますが、シノポリ盤ののびやかなところがいいなあ、と思いました。

Symphonies Nos. 1 & 2 / Pomp & Circumstances
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なにか、この初夏の風情に、イギリス音楽が似合うような気がしてなりません。日本の音楽だとという音楽が似合うのでしょうか。もっとも、こうした風景自体が、原日本的な風景ではない、という考えもありますけれど。

ではみなさま、おやすみなさい。グーテナハトです。

 

Miscellaneous

この国のかたち〈1〉 (文春文庫)
司馬 遼太郎
文藝春秋
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数ヶ月前に、NHKスペシャルで「この国のかたち」というシリーズが放送されました。いろいろと興味深く、特に、東国武士団は、開拓農民だったという史観には随分納得したり驚いたりしたものです。

それで、改めて本を買って読み始めたという次第です。日本の歴史は学生時代に一通りは抑えてはいるのですが、「日本人とは?」とか「この国とは?」という問いを立ててみたことはありませんでしたので、興味深いですね。
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さて、今日、家族でサイクリングをしていました。河川敷の運動場横を自転車で通ったのですが、中学生か高校生かの野球チームとすれ違いました。目が会うと、彼らは、体の向きを変えて、帽子を取って私らに「今日は!」と挨拶するわけです。それが、何か「この国のかたち」に出てきた薩摩の郷中のような質実剛健な清々しさを感じました。

ですが、本当にそうなのかな、とも。きっとチームのメンバーや顧問がいる前なので、決められた作法を守っているだけに過ぎず、役割を果たしているに過ぎないのではないか、とも。

こういうところを考えるのが大事なんだろうな、と思いました。

とはいえ、何かいい気分にさせてくれるひとときでした。それが本当であろうと、作られたものであろうと、事実が大切だなあ、とも思います。

さしあたり、昨今考えていることはこんなことなのかもしれません。揺れ動く世界の中で、どうあるべきなのか、ということを考える義務がある、ということなんだと思います。

それではみなさま、おやすみなさい。

Miscellaneous

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最近、いろいろありまして、なかなか以前のように書けなくなってきている感じかも。

  1. 休日に時間が取れなくなり、オペラやコンサートに行けなくなってしまった。サックスはもとより、オーボエも吹けず。
  2. 以前にも書いたかもしれませんが、3月初旬に休みなく20日ぐらい働いたのですが、その後遺症に悩まされています。ここで、ブログの連続更新が途切れました。
  3. 最近の文学的関心領域が歴史文学になっているのですが、そうするとなにか書きづらくなった。

などでしょうか。まあ、3番目の理由が最も大きい気がします。

人生総決算みたいな安易なことは意味がないので、少しずつ粘り強く変えていかないと、物事はうまく進みませんね。

そんな中で、何ができるのかしら、と。ただただデューティを守り続け、身体をメンテナンスすることなんだろうなあ、と。

でも、今日もトラブルで夜中に帰宅中。

さて、今日はこちら。

Essential Herbie Hancock
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Herbie Hancock
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ハービーのオムニバスなんですが、そもそも私はオムニバスがあまり好きではありません。アルバム制作の意図が見えにくいので、というのが理由。あとは、選曲者の主観に縛られるような気がして。
でも、Apple Musicで聴けるButterflyはこのアルバムだけです。ハービーのけだるいかっこよさを満喫しました。

ではみなさま、おやすみなさい。グーテナハトです。