アラベラとさまよえるオランダ人は似ている。

昔、こんな記事を書きました。

実演で、トーマス・ヨハネス・マイヤーさんが、オランダ人とマンドリーカを歌っていたので、気づいたのだと思いますが、よく似ているなあ、と思ったのを記憶しています。新国立劇場の座席で、これは似ている!ときづいたんでしたね。。

同じとを思っている方がいるというのは、引用した私の記事にも書いておきましたが、こんな時代なので、生成AIにもさっと聞いてみました。

リヒャルト・シュトラウスの**『アラベラ』と、リヒャルト・ワーグナーの『さまよえるオランダ人』**。一見すると、華やかなウィーンの社交界を描いた喜歌劇(風)の作品と、北海の荒波が舞台のロマンティック・オペラで、正反対の印象を受けますよね。

しかし、ご指摘の通り、この二作の物語の骨組み(プロット)には驚くほど共通点が多く、音楽学者やオペラ愛好家の間ではしばしば「『アラベラ』はシュトラウス流の『オランダ人』のパロディ(あるいはオマージュ)である」と指摘されています。

具体的にどのような点が似ているのか、そしてどのような指摘があるのか整理しました。


1. プロットの驚くべき共通点

比較してみると、キャラクターの役割や状況がほぼ一致していることがわかります。

要素さまよえるオランダ人アラベラ
ヒロインゼンタ(宿命の女性)アラベラ(理想の女性)
ヒロインの父ダーラント(金に困っている)ワルトナー(ギャンブルで破産寸前)
よそ者(男)オランダ人(異界からの富豪)マンドリカ(辺境スラボニアの富豪)
出会いの動機父が金と引き換えに娘を売る約束をする父が金目当てで娘の写真を送りつける
地元の恋人エリック(猟師・一途だが報われない)マッテオ(軍人・一途だが報われない)
象徴的な儀式「死ぬまで忠実」という誓い「水の一杯」を捧げる伝統的な誓い

構造的な類似

どちらも**「没落しかけた父親が、どこからともなく現れた得体の知れない大富豪に、娘を嫁がせることで家計を救おうとする」**という導入部が共通しています。また、ヒロインが以前からその「よそ者」の存在を予感(あるいは予知)している点も酷似しています。


2. 専門家や研究者による指摘

この類似性は偶然ではなく、台本作家のフーゴ・フォン・ホーフマンスタールが意図した部分が大きいというのが通説です。

  • 「叙情的なオランダ人」としてのマンドリカ音楽評論家の間では、マンドリカ(アラベラの婚約者)は「ワーグナー的な呪いから解き放たれ、現実的な富と素朴な心を持ったオランダ人」として描かれていると分析されます。
  • ワーグナーへの皮肉と敬愛シュトラウスはワーグナーを崇拝していましたが、同時にその重苦しさを現代的(20世紀初頭当時)な軽やかさで再解釈しようとしました。『アラベラ』において、ワーグナーなら悲劇になるところを、シュトラウスは「許しと和解」のハッピーエンドへと導いています。
  • ホーフマンスタールの手紙台本作家ホーフマンスタールとシュトラウスの往復書簡の中でも、キャラクター造形において過去のオペラの類型(タイプ)を意識していたことが伺えます。

3. なぜ「似ている」と感じるのか

あなたが「実によく似ている」と感じたのは、おそらく物語の**「救済」**というテーマが共通しているからではないでしょうか。

  • 『オランダ人』: ゼンタの自己犠牲によって、呪われた男が救われる。
  • 『アラベラ』: アラベラの高潔な愛(と水の一杯)によって、疑念に駆られたマンドリカの心が救われ、家系も救われる。

『アラベラ』は、いわば**「もし『さまよえるオランダ人』が、1860年代のウィーンを舞台にしたお洒落なラブコメディだったら?」**というIFストーリーのような構造を持っていると言えます。


次のステップとして、このような深掘りはいかがでしょうか?

もしご興味があれば、「『アラベラ』と『フィガロの結婚』の類似性」(シュトラウスがモーツァルトをどう意識したか)や、マンドリカというキャラクターが持つ独特の野生味についてもお話しできます。

気になるポイントがあれば、ぜひ教えてくださいね。

本当に勉強になります。理解が深まりましたね。

週末のように時間があるときは、こんな形でオペラ史について勉強してみるのもよいな、と思います。

それではまた。おやすみなさい。